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重力加速の不適格者  作者: はっこー
第三章:『再起動する世界、新しき王の誕生』

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37/39

第37話:『五帝集結――空中要塞パンドラ』

1

 炎帝レオンハルトの消滅と共に、氷晶宮は完全に崩壊し、海へと沈んだ。  瓦礫の上に立つ俺と結衣。そして、炎を喰らって不気味なほどの魔力を放つハク。  勝利の余韻に浸る間もなく、世界の「音」が変わった。


 ズゥゥゥゥゥゥゥン……!!


 地響きではない。空そのものが、巨大な質量に押し潰されるような低い振動。  水平線の彼方、雲を割りながら現れたのは、五つの異なる魔力が螺旋を描いて空を穿つ光景だった。


「……ついに、なりふり構わなくなったね。彼らはプライドを捨てて『群れる』ことを選んだようだ」


 いつの間にか、ルカが俺たちの隣に立っていた。その視線は、上空に浮かぶ巨大な影――かつてOSの管理下で「最終処分兵器」として封印されていた空中要塞を見つめている。


「あれは……何?」


「空中要塞パンドラ。……世界のOSを設計した管理者たちが、人類が制御不能になった時のために残した、文字通りの『厄災』の箱だよ」


2

 パンドラの中心部。そこには、残された五人の皇帝たちが、憎悪と恐怖に満ちた瞳で下界を見下ろしていた。


『光を失い、水と炎を削られた……。もはや、個の力で奴を葬ることは不可能だ』


 土帝ガイアの声が、要塞の拡声魔法を通じて世界中に響き渡る。  彼の横には、風を纏う賢者、雷を背負う武人、森を司る老婆、そして金を操る守銭奴。  本来ならば互いに相容れないはずの五帝が、今、一つの「殺意」に集束していた。


『神代晴人よ。貴様が望んだのは自由か? ならば、その自由の重さを知るがいい。……このパンドラより放たれる「裁きの光」が、世界全土をならし、再び完璧な平穏をもたらすだろう!』


 要塞の底部が展開し、五つの属性が混ざり合った、どす黒い極大の魔力収束砲が形成され始めた。  それは日本列島だけでなく、世界の主要都市すべてを同時に消滅させうる規模の攻撃だった。


3

「……冗談だろ。あんなものを撃ったら、世界は本当に終わるぞ」


 俺はハクを抱き上げた。ハクの体は、パンドラから放たれる異常な魔力に反応し、再びその身を「虚無」へと染め上げようとしている。


「ハルト、私……まだ戦える。お父様を超えたこの氷なら、あんな光だって……!」


「ダメだ、結衣。お前の魔力はもう限界だ。……それに、あれは魔法の規模じゃない。世界そのもののリソースを燃やして撃とうとしている」


 俺は一歩、空中へと踏み出した。  ハクの捕食能力で喰らい尽くすには、相手のエネルギーがあまりに巨大すぎる。  なら、方法は一つしかない。


「……ルカ。パンドラの中心まで、俺を飛ばせるか?」


「……正気かい? 五人の皇帝を相手に、たった一人で乗り込もうと言うのか」


「一人じゃない。……俺とハク、そして、あんたが信じた『不適格者の執念』が一緒だ」


 ルカは一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべ、杖を構えた。


「――いいだろう。管理者の末裔として、最後の『反逆』の切符を君に渡そう。……ただし、戻ってこなかったら、君の伝説を僕が勝手に書き換えてしまうよ?」


「……ああ。最高にハッピーエンドなやつにしてくれ」


 ルカの空間転移が始動する。  俺とハクは、光を放つパンドラの中心部――「五帝の玉座」へと、一気に加速した。

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