表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
重力加速の不適格者  作者: はっこー
第二章:『八帝の崩壊と、世界のOS』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/39

第30話:『反逆の軍師――ルカの正体』

1

 真っ白な空間に、場違いなほど優雅な靴音が響いた。  光帝ソロモンが作り出した絶対的な静寂を切り裂き、ルカ・エヴァンズが俺たちの隣に並び立つ。その手には、これまで見たこともない漆黒の「コマンド・杖」が握られていた。


「ルカ……! なぜお前がここに……。ここは鍵を持つ者しか入れないはずだろ」


「忘れたのかい、ハルト。僕は君の『鍵』を作る手伝いをした。……つまり、そのプロセスの裏口バックドアを知っているのは当然のことさ」


 ルカは不敵に微笑み、黄金の椅子に座る光帝を真っ向から見据えた。


「ソロモン。君の話は相変わらず退屈だ。世界を救うための牢獄? 人類を守るためのシミュレーター? ……違うね。君たちがやっているのは、ただの**『死の延命』**だ。変化を恐れ、進歩を止め、演算の檻の中で永遠に同じ今日を繰り返させているだけだ」


2

「……ルカ・エヴァンズ。システムの一部に過ぎぬお前が、創造主に牙を剥くか」


 光帝の声に初めて「不快感」というノイズが混じった。空間全体がルカを排除しようと赤く明滅し、高密度の情報圧が彼に襲いかかる。


「創造主? 笑わせないでくれ。……ハルト、結衣さん。教えよう。……この世界には八帝とは別に、OSの深淵にアクセスできる特別な権限を持った一族がいる。……それが、かつてこのシステムを設計し、自分たちの魂をコードへと変えた**『管理者(管理者)』**。……僕の本名は、ルカ・アステリオス。君たちの言う『神』の、末裔の一人だよ」


 ルカの周囲に、黄金の文字列とは異なる「青白いコード」が螺旋を描いて展開された。  それは光帝の干渉を無効化し、空間の支配権を力ずくで奪い取っていく。


「僕は、この停滞した世界が嫌いだった。だから、ハルト、君を見つけたんだ。……既存の計算式では決して導き出せない、負の加速度を持つ『不適格者』。……君がこの世界の壁に穴を開け、OSを再起動させる。そのための『最高のエラー』としてね」


3

「……ルカ、お前、最初から俺を利用するために……」


「ああ、そうだよ。否定はしない。……でも、ハルト。君はもう、ただのエラーじゃない。君は自分自身の意志で、結衣さんを守るためにことわりを超えた。……それは、僕の計算さえも超えた『真の自由』だ」


 ルカが杖を掲げると、真っ白な空間の奥底から、巨大な「黒い心臓」のような構造体が姿を現した。


「あれが世界のコアだ。……光帝ソロモンを倒し、あそこに君の『自由落下フリーフォール』を叩き込め。そうすれば、世界のOSは再起動され、人類はシミュレーターの外……本当の空の下へ解放される」


「……黙れ、叛逆者よ!!」


 光帝ソロモンが激昂し、黄金の椅子から立ち上がった。彼のホログラムが実体化し、背後には幾千もの魔法陣が重なり合った「光の翼」が展開される。


「世界をリセットさせはせぬ! システムを汚すウイルス共々、永遠の虚無に消え去るがいい!!」


 第二章、最大の激突。  俺は、俺の胸で目を覚まそうとしているハクの力を感じながら、右拳を固く握った。


「……上等だ。俺がウイルスなら、あんたというバグごと、この世界を『再起動』してやる!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ