雪灯り
凍える空に白い息が舞う
君の指先が僕のポケットに
触れたその一瞬で
雪解けは止まった
粉雪が舞う夜
星が滲んで見える
君の頬についた雪を
払ってあげるふりをして
僕が触れたかったのは
君のその体温なんだと
ただ横顔を見つめた
好きだなんて言えるはずもない僕は
名前のない時間を歩いている
積もる雪に二人分の足跡
ただそれだけが確かだった
震える手で
言葉を探していた
僕のせいだ
冬のせいにするには
あまりにも綺麗だから
降り出した雪を眺めながら
頬が紅潮する君の隣で
いつまでも夢をみている
それは僕を灯す一筋のあかり




