中身人間の生き物達
「アンタもエージェントかい?」
と声がした方を見ると
カラスさんがトトを見下ろしていました。
「『アンタも』って事は貴方もですか?此処の世界にはどれ位の数のエージェントがいるんですか?」
(・・?)トトが素朴な疑問を呈した。
「エージェントが皆、同一の世界から来てるとは限らないからかなりの数にのぼるんじゃないかい?因みにアタシは第三次世界大戦が起きて世界が放射能塗れになった世界から来てるんだけど、アンタは?」
カラスさんが訊きました。
「私は『人間だけが死ぬウィルス』のパンデミックで人類滅亡した世界から来ました」
(´・_・`)トトが答えると
「まだ人類滅亡してない並行世界の方が少ないから、此処の世界にもどんどんエージェントが流れて来てるんだろうね…」
カラスさんが意味深なことを言いました。
どうやら無数に存在する並行世界のうちの多くが「人類滅亡」しているらしいのです。
そして「自分達の世界に何が起こっていたのか?」という真相を探る為に、まだ人類滅亡していない『近似性のある世界線』の並行世界へと情報収集に来てるので。
人類滅亡してない世界では沢山の知性ある動物が「実は中身人間」な状態になってるのだそうです…。
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人間達が外出から返って来ると、早速トトを抱っこして室内に戻しました。
「トトちゃんは本当に可愛いなぁ」
と人間の子供が言いました。
不思議なことに何故かトトの名前はこちらでも「トト」と名付けられています。
(この家の人間達にはチャネリング能力でもあるのか!?(^_^;))
「そう言えば菜食主義者達が肉屋を襲撃したとかいうニュースを見て『頭がおかしいんだろうな』と思ったけど、動物を可愛がるあまり、動物の肉を食べるのを残酷だと思う人達もいるってことなんだろうね」
と人間の大人が言いました。
トトとしては
(『中身人間』のエージェントが増えた所為で、この世界の人間達も何か感じて、肉食に罪悪感を感じ出してるのかも…(ー ー;))
と、エージェント増加の社会的影響を心配してしまいました…。