本体は無事です
(それにしてもこっちの世界の人間達にとっても災難だろうな。なにせ「中身人間」の動物達が増えたおかげで肉食に抵抗感を持つ人達も増えたし、そのくせ世界的には人口過密状態。食糧生産と流通の過程に何か起きて食糧危機に発展したら、どれだけ餓死者が出るか判ったもんじゃない)
トトは人間からオヤツを貰いながら、そんなことを思いました。
(@ ̄ρ ̄@)
(結局、エージェントの意識体の本体は自分の世界の肉体に残ってて、こっちには分体が出張してるだけな訳だから。こっちで死んでも向こうにちゃんと肉体もあるし、単に『想いの玉』が割れて出張が出来なくなるだけなんだけどね…)
ここの人間達はトト達エージェントが知ってる知識を知りません。
なので過剰に「動物が可哀想!」だと思い、人類の食糧の選択肢を狭めようとして、食糧危機が起きたら人類滅亡に近い規模の被害者が出るように人為的に人災を引き起こそうとしているのです。
トトとしては
(元々魂の所属は別の世界だし、死んだ肉体に留まる予定もないので、別にエージェントの宿ってた動物でも普通に食用にしても構いませんよ?)
と言いたいのに
エージェントの言葉は人間達には通じないのでした…。_| ̄|○
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トト達はペット生活をしながらせっせと情報収集をしました。
(=^x^=)U・x・U( ̄(工) ̄)
しかし本体の肉体と違って出張先の肉体は、改造の施されていない普通の動物です。
いくら中身が人間でも人間のように長生きはできません…。
トトが人間のペットとして過ごして6年の歳月が経ちました。
自分の世界では結婚もして子供もできました。
*・゜゜・*:.。..。.:*・'(*゜▽゜*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*
だけど出張先の世界では相変わらず独り身のペットです。
そして年寄りの身体です。
(あ、こりゃダメだ…。死ぬな、この身体)
と感じて以来、あまりトトは主張先にあまり転移しなくなりました。
なので人間達には
「最近トトは寝てばかりだね」
と思われていました。
そしてとうとう…
歳をとったウサギの身体は老衰して死んでしまいました…。
トトの『想いの玉』は割れて、トトは主張先の世界とのリンクが絶たれたのです。
トトを可愛がってくれた人間の子供とはもう会えません。
結局、トトの情報収集は決定的な情報には結びつきませんでした。
人類滅亡に回避方法はあったのか、単に必然で回避不可能だったのか、判らないままです。
それでも…
トトはたまにトトを可愛がってくれた人間の子供を夢で見ることがあります。
(_ _).。o○
夢の中の子供は段々成長しているので、もしかしたら夢の世界だと、むこうとのリンクが切れてないのかも知れません。
レディーさんが蒔いた巨大タンポポは未だに増え続けていますし。
こちらの世界の技術もバカには出来ないのです。
トトはタンポポコーヒーを飲みながら、人間達のことを思い出すのでした。
(赤ちゃんみたいに抱っこされたりするのは嫌だったけど…世話してくれて有難う。私を好きになってくれて有難う)と…。
【THE END】