「王か、化け物か……貴様は何者だ」
「――“王”か、“化け物”か」
声を投げかけたのは、魔族帝国ベリオンの大貴族、漆黒の翼を持つ魔将クロゼル。
アーサーの前に跪くことなく、その双眸に疑念と敵意を宿していた。
アーサーはただ一歩、玉座から降り立ち、腰に佩く魔剣を抜く。
「貴様にそれを測る資格はない」
「……ならば、何で証明する」
「――この剣でだ」
黒き斬光が、空間を裂いた。
瞬間、クロゼルの脚元に走る衝撃。床が十字にひび割れ、何かが砕ける音が響く。
その圧、ただの威圧ではない。**王の存在そのものが空間に“優先されている”**ような、理の支配だった。
「……ッ、この力……これはもはや、勇者などでは……」
「名を問うなら、答えよう。我こそは――円卓の王、アーサー・ペンドラゴン。そして、この地に新たな秩序を築く者だ」
その日、魔族帝国の中心地《ラヴェル城塞》の上空に、漆黒の王旗が掲げられた。
◆知識無双・内政無双開始!
「まずは税制を改める。物納ではなく魔石制に統一、加えて各領に《公会制》を設け、徴収ではなく流通を促す」
「……我ら魔族の慣習に逆らうおつもりか?」
「逆らうのではない。“進める”のだ。進化なくして覇道はない。理解できぬなら退け」
“言葉”の重みが違った。魔族たちは知らなかった。これが本物の王の思考、行動、統治だということを。
続けてアーサーは《農魔融合政策》を提唱。魔法で耕作地を拡大し、魔石を栄養素とする作物――通称《魔根菜》を普及。
腐敗寸前だった地方領主たちは驚愕し、食糧難からの脱却を達成。
さらに:
《鍛冶都市ルフォス》に技術交換による鍛冶師ギルドを創設
スラムに《義勇騎士団》を創設し、教育と武の両立を進行
奴隷制度の改革を提言。契約労働制へと転換し、志願者を増やす
次々と提示される政策に、最初は反発していた貴族たちも、実利の波に逆らえず膝を屈した。
◆《黒王》アーサーの伝説、始動
「王は王たる資格を行動で示すものだ」
その一言を口にした時、すでにベリオンの内政構造は骨ごと入れ替えられていた。
民はこう呼び始めた。
――“終焉を喰らう黒王”
――“理を蹂躙する魔王よりも恐るべき存在”
だが彼は、まだ気づいていない。
この世界のどこかで、もう一人、神に選ばれし異端の翼が羽ばたいていることを。
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『神の余興により堕とされた異端の翼、その者、異界にて覚醒し神すら恐れる陰陽術を操る』←宣伝
アーサーとルイ――
二人の異端が交わる時、この世界の運命が大きく軋む。