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虚無の王《ザ・ホロウ》と最後の円卓

 塔の第七階層は――存在しなかった。


 騎士たちが第六階層を越えた瞬間、目の前に広がったのは空虚そのもの。

 地もなければ、天もない。音もなく、色もなく、温度すら感じられない“空間”。


 ただ、そこに一つ――王座が浮かんでいた。

 その王座に、誰かが座っている。


 それは、アーサー王そのものだった。


 だが、彼の顔は空洞だった。

 表情も、声も、意志もない。

 ただ“王”という形をした影が、王座に君臨していた。


「……ようこそ、残響たちよ。

 ここが、“あなたたちがたどり着くはずだった最後の円卓”だ」

 声を発したのは、影の王の傍らに立つ男――円卓の騎士ケイだった。


「ケイ……!? なぜここに……!」

 アーサーが驚愕する。


「……ここが、“本来の終着点”だったのだよ、アーサー。

 君たちが手にしたチート、シェア、奇跡……すべてはこの塔のために練られた計画だ」


 ケイの姿はすでに人間ではなかった。

 星喰いの竜の心臓の魔力と、ミラーゼルの精神力を吸収し、“塔そのものの意思”に融合されていた。


 《ザ・ホロウ》の正体

「この塔は、あらゆる世界で“英雄”になり損ねた者たちの記憶から生まれた。

 君たちは、特異点。英雄であると同時に、“運命から外れた存在”だ」


 浮かび上がるのは――

 もしアーサーが王にならなかった未来。

 もしランスロットが裏切らなかった未来。

 もしモルドレッドが救われた未来。


 それらを統合した“最も理想的で最も空虚な王”。

 それが、虚無のザ・ホロウ


「この存在こそ、塔が求める“最終の円卓”……すべての世界の統一だ」


 ケイは言った。


「だが君たちは、道を踏み外し続けた。裏切り、死、失望、後悔……

 塔はもう、理想などいらない。“完璧な空虚”こそが世界を癒す」


 騎士たちの決断

「それが、お前の答えか。ケイ」

 アーサーが剣を抜いた。


「ならば俺は、お前と戦う。俺たちの歩みは“失敗だらけ”だ。

 だが、その歩みこそが――現実の尊さだ!」


 円卓の騎士たちが一斉に武器を構える。

 ランスロットが静かに言う。


「虚無を王と呼ぶな。王とは、“選ぶ”者だ」


 ガラハッドが祈るように構える。


「そして、願う者でもある。幻ではなく、祈りを――現実に刻め」


 《スキル:シェア・ユニゾン 最大展開》

 全員の力がひとつに重なり、空間を震わせる。

 ケイと《ザ・ホロウ》が立ち上がる。

 それはまさに、アーサーとケイの最終の分岐。


 ――円卓 vs 最後の円卓。

 次元を超えた戦いが、今始まろうとしていた。

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