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愉快彩夢世界-ユカイロドリームワールド-  作者: 天木蘭
事故物件と壊し屋さん
2/12

赤い崎と青い牧

「というわけで、青春しようぜ頼人」


放課後、ホームルームが終わるとすぐ、俺は前の席にいる赤崎頼人に声を掛けた。頼人は既にスマホを取り出して、何やらSNSを開いている。


「なに、青春って。恋? 部活? ゲームで良くない? 知ってるか? ユカイロドリームワールド」

「知らないけど、禁止されている事をやろうぜ。そんで、若者の特権で許されようぜ!」

「なに、禁止されている事って。飲酒? 売春? ゲームで良くない? 知ってるか? 現実でやると罰がある」

「そんくらい知っとるわ! ってか売春はゲームでもやんねえよ!」


サラサラヘアの頭にチョップを叩き込むと、数年来の付き合いがある幼馴染の顔が見えた。頼人は迷惑そうに頭を摩る。


「結局、何がしたいわけ?」

「青春だっつってるじゃん」

「なに、青春って。恋? 部活? ゲームで」

「良くない! ……いや、ゲームでも良いけど、それなら、なんか大会を目指すとかさ、思い出に残る目標が欲しいよな」


改めて問われると、青春ってなんなんだ。青春漫画とかって、とにかく楽しそうなのが青春って感じだけど、なんというか、具体的じゃないよな。


「要するに、数人規模のグループで、メンバーは全員若くて、高校生の間にしかできない思い出に残る事をしたいって事?」

「それが青春なのかはわからないけど、俺は多分そんな感じの事をしたい」


頼人が出した良い感じの答えに、うんうんと頷く。

ポスン! と、そこで突然、俺の机にあったペンケースが床に落ちた。


「え?」


いや、おかしくないか? 別に今、ペンケースは机からはみ出る位置にあったわけでもないぞ?


「晴斗、そのペンケース、磁石でも入ってる?」


頼人は呆気に取られた表情をしていた。


「え、いや、入ってないけど」

「そいつ、引っ張られたみたいに落ちたぞ。マジックか?」

「いやいやいやいや、怖い怖い」


俺はそんな仕込みをしてない。周りを見回しても、俺たち二人以外に変な反応をしてる奴もいなかった。


「……心霊現象か?」

「まさか。馬鹿らしいよ」


頼人は馬鹿らしいと言いながら馬鹿にした表情をしている。なんか腹が立った。

だって、今は夏だぞ。ホラーの時期だ。幽霊がいたって良いだろ!


「なら、頼人。一つ目の青春は決まりだ」

「なに、青春って。恋愛? ぶか」

「ホラーだ! 黒い家を探索しに行こう」

「……さっき、一つ目って言った?」

「言った」

「……良いよ。どうせ、明日からは夏休みだ」


高校一年の夏休み。が始まる一日前。

俺たちは近所でも有名な心霊スポットへ向かう事になった。

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