暗い夜と青い春
俺は河川敷を歩いていた。理由は知らない。辺りは暗かった。自分の足音以外、何も聞こえない。
急に、背中を押された。誰かの手の感触。気づくと俺は階段を転げ落ちていて、石に身体を揉まれながら、悲鳴を上げていた。
痛みで意識を失って、次は病院にいた。
ベッドに横たわり、手も足も自由に動かせない。そんな感じ。
ああ、何がいけなかったんだろう。誰に背中を押されたんだろう。
わからない事を考えてもわからないまま、目が覚めた。
俺は自分の部屋のベッドにいて、とても夏だとは思えないくらいに身体が冷えていた。でも、朝はびっしょり掻いていた。
これは、警告なのかもしれない。お前の人生なんて、いつどうなるのかわからんのだぞという。誰からとか、何からとか、そういうのは別にどうでもいい。
ただ、常日頃から、薄々と感じてはいたのだ。
青春がしたい。
青春には期限がある。青春は若いうちにしかできないのだ。何故なら、若いうちにしか許されない事が、この世界にはたくさんあるから。
河川敷の階段を誰かに突き落とされるという悪夢は、こうして俺の青春意欲を掻き立てた。
一つだけ確定しているのは、これから俺が青春を送るということ。だって、思い立ってしまったなら、始めるしかない。始めたなら、始まる。そのはずだ。