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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

別の世界ではただの日常です

殺し屋

作者: 茅野榛人
掲載日:2023/08/12

 サイレンサーのついたライフルを構えて、ターゲットを狙撃した。

 弾はターゲットの頭に当たり、そして倒れた。

 今日も完璧に依頼をこなすことが出来た。

 どんな感情にも左右されず、依頼された事を百パーセント成功させる。

 これが、殺し屋である俺の信念だ。


 電話の着信音で目が覚め、電話を取る。

「はい、Yクリーニングです」

「もしもし? T? 私! U!」

「……はい?」

 Uとは、俺のお袋の下の名前だ。

「え……お袋か?」

「そうよ!」

「何でここが分かったんだよ?」

「それはまあ……良いじゃないの!」

「良くねえって!」

「それよりT、あんたいけない仕事してるでしょ?」

「……はあ? 何でだよ……してねえって!」

「大丈夫よ、あんたのしてる事は誰にも言わないから、その代わりね……」

「何だ、まさか金か?」

「違うわよ! お金なんて要求しないよ! その代わりね、もう足を洗いなさい」

「……ほお……なるほど……何でここ知ってるか分かんねえけど、俺を止めたいんだな」

「これ以上、手を汚すのはやめて頂戴、お願い」

「悪いが俺は止まるつもりはねえよ、一回の依頼でがっぽり貰えるんだからさ」

「T!」

「もうかけてくんじゃねえぞ!」

 電話を切った。

 何処で……何処で俺の裏仕事の情報を掴んだんだ?


 最近、腕の調子が良くない。

 ターゲットを狙撃しようとする度に、あのお袋の声が脳内を駆け巡るのだ。

 これ以上……手を汚して良いのか……そのように考えるようになったのだ。

 その所為で引き金を引くのに時間がかかる、これは、どんな感情にも左右されないと言う、俺の信念に反する。

 何とかして、お袋の声を頭の中から消去しなくてはならない、何とかして……。


「あ! この前の……」

「はい、Tの友人です」

「Tは、足を洗いましたか?」

「ええ、きっぱり裏の世界から手を引いたようです」

「ああ……良かった……本当に良かった……」

「お母様のご協力のお陰です」

「ありがとうございます……どんなお礼をすれば……」

「あ、いえいえ、お礼は結構ですよ、僕はTを、裏の世界から引きずり出したかっただけですから……あ……でも……一つだけお願いをしても良いですか?」

「……は……はい? 何でしょうか?」

「この事は一切、口外しないようお願いします」

「……は……はい……分かりました……ゴホ……ゴホ……」

「大丈夫ですか?」

「は……はい……ゴホ……大丈夫です……ゴホ……ゴホ……」

 完璧だ。

 これで俺の所に、どんどん依頼が来るであろう。

 あいつは俺よりずっとレベルが高い。

 あいつがいる限り、俺のような所には殆ど依頼が来ない。

 邪魔だった、兎に角邪魔だった。

 しかし殺したくは無かった。

 あいつを殺す事は、依頼されていないのだから。

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