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第二十五話「人として死ね」

「くっ、うぅぅ……。このっ――矮小なクソカスどもがあぁぁぁッ‼」

『管理人』は、汗をダラダラと流し、目を見開いて叫び、右腕の傷口に剣の腹を当てて強引に止血。

左腕を右から左へ向けて薙ぎ払う様に振るうと、金属同士が擦れあう耳障りな音と共に、剣の壁が、俺とリジェクトを吞み込まんと迫って来る。

「リジェクト、掴まれ‼」

「あぁ‼」

俺はリジェクトの左手を掴み『目の前の障害物を飛び越える』と、脳内で唱える。

瞬間、俺の両脚はコンクリの地面を凹ませる程の斥力を発する。

まるで巨大なバネで跳ねた様に跳躍する俺は、眼下からこちらを見上げる『管理人』と目が合う。

「誤‼奴へ向けて私を投げてくれ‼」

「了解……。いっけ――ぇ‼」

俺はリジェクトの手を思いっ切振り抜き、彼女を『管理人』へ向けて投げる。

当然俺の力だけでは、速度が全く足りない。

だがそれで良い。

俺の頭痛が収まるまでの一瞬。『管理人』が、速度の付いていないリジェクトではなく、急に動きの変わった俺に狙いを定める判断を下す、そのコンマ数秒だけ時間ができる。

その時間で、俺の頭痛は少しだけマシになる。

つまり、また能力が使える。

『リジェクトを加速させる』

俺は声には出さず、しかし脳内で、明確にそう言う。

刹那、リジェクトは一筋の閃光と錯覚する程の速度を以て『管理人』へ斬りかかる。

「はあぁ――‼」

「なにっ……⁉」

リジェクトの雄叫びと『管理人』の驚愕の声。そして、コンクリを破砕する音と、強烈な衝撃が俺にまで届く。

リジェクトの斬撃は『管理人』を仕留めるには一歩届かず、奴との鍔迫り合いになっていた。

しかしそのお陰で『管理人』の剣の壁は制御を失い、霧散する。

俺は頭をカチ割る様な激痛を堪えながら、再び能力を使用して着地する。

『無事に着地する』と唱えたのだ。

「よし、次は――」

立ち上がってリジェクトに加勢しようとして気付く。鼻血が出ていた。

可能な限り頭痛を無視していたからだろう。

この戦いであと何回、俺が能力を使えるかは分からない。だが、今は無茶をしてでも、奴を……『管理人』を殺さないと。

鼻血を右手で拭い、若干フラつく足を無理にでも前へ進め、リジェクトの元へ。

リジェクトは『管理人』と斬り合っていた。

俺の目には、二人の腕は一切見えないが、表情や立ち回りからは『管理人』がやや優勢に見える。

援護しなくては……‼


「『管理人』……いや、ホープ。貴様、一体何故【異能アプリ】なんて物を作った……⁉」

「っ……私はね、リジェクトさん。あの頃からずっと、人類は多すぎると思っていたんですよ‼」

私が放った袈裟切りを受け流し、右脚での蹴りを放って来る『管理人』。

私は剣を即座に引き戻し、その蹴りを剣の腹で受ける。

その一瞬の隙を見逃さず、『管理人』は左手に持った剣で、私の顔面目掛けて突きを放つ。

私は微かに傾げ、最小限の動きでそれを回避。右頬を掠めていく切っ先と、少し遅れてやって来る熱にも似た痛みに構わずに、剣で左上へ向けて切り上げる。

『管理人』は背後へ跳躍して斬撃を回避する。

ここで攻めるッ……‼

そう考え、前へ一歩踏み出し、振りぬいた柄を両手で掴み、唐竹割りを放とうとし、そこで殺気を感じ、私も『管理人』と逆方向に飛び退く。

次の瞬間、私が立っていた地点に剣が大量に突き刺さる。

『管理人』は、左手に持っていた剣を一瞬だけ手放し、能力を発動していた。

「……『人類が多すぎる』だと?どういう事だ」

「人類は、自分とは違う者を差別し・憎み・争い……そしてその争いの勝者は、敗者を嗤笑(ししょう)し、敗者は勝者に憤怨(ふんえん)を募らせる。その感情が、新たな争いを生む。……そんな醜態を晒すしか能の無い猿どもが、まるで生物の頂点だと言わんばかりに跋扈している……何故だと思いますか?」

「我々人間は協力し、知恵を絞り生きてきた。その結果の繁栄だ。貴様の見方は歪だ」

「そう‼我々人類は、繁栄するまでは、協力し合う事が出来ていた‼それは、生物として弱者の側だったからこそなのです。裏を返せば、強者の側に立った時、人類は『ヒト』ではなく、猿に成り下がるのですよ‼私は人類を『ヒト』に戻したいのです‼」

『管理人』は愉しそうに、嗤いながら話す。

どうやら、私と会話をするつもりは無いらしい。

「話すだけ、無駄か……」

数百年前に私が死に、そして蘇るまでに、ホープ……『管理人』は変わってしまった。

「……未曽有の大虐殺を起こしてしまう前に、私が貴様を殺す。せめて、人として死ね。ホープッ‼」

「私の目的を達成する為の試運転は、今回でようやく終了した‼あの小僧を殺した後は、【異能アプリ】を用いて人類の縮減(しゅくげん)を行う‼邪魔を……するなぁ‼」

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