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第二十三話「よろしく」

残りの人数は一人。

『双葉 優』だ。

彼……いや、彼女かもしれないが、とにかくあと一人だ。あと一人殺してしまえば、全部終わる。……終わる、はずだ。

「行きましょう、リジェクトさん。羽滝のように……『管理人』が、双葉という人物を、唆すより前に、合流しなくては」

「勿論だ。急ごう」

『管理人』に何かを吹き込まれていたとはいえ、俺は新たに人を一人殺した。

この事実は、背負っていかなくてはいけない。

俺とリジェクトは、残っている最後のアプリ利用者のもとへ急ぎ、到着した。

だが……双葉 優も、羽滝と同じに『管理人』に欺かれ、俺とリジェクトを心底恨んでいた。

だが……彼もまた、俺が殺した。

俺が持つ『願いを叶える権利』は、これで四つだ。桜、桜の両親。そして花子。

この四人を蘇らせるという願いが丁度叶う数。

【おめでとうございます。識知 誤様。

あなた様は、異能アプリの利用者として、最後まで生き抜きました。

つきましては、保持していらっしゃる『権利』の数だけ、願いを叶えさせて頂きます。

明日の午前零時に『管理人』が改めてお伺い致しますので、願いを整理してお待ち下さい】

俺が自身の『権利(つみ)』を数えていると、スマホから通知が鳴った。

「……そういう訳です、リジェクトさん。俺は蘇らせたい四人を蘇らせて、それで、終わりです」

双葉の遺体から離れて我が家へ向かう最中に、隣を歩くリジェクトにそう言う。

「いや、終わりではない、だろうな……」

「――え?」

「考えても見てくれ、少年」

リジェクトが語ったのは、花子と俺が、このタイミングで、決闘のカードとして選ばれたことについてだった。

「『管理人』は、私と君、そして少女の三人が協力関係になっていたのを、煩わしく思ったのではないだろうか?少年が少女から聞いた『勘』という言葉に、仮に根拠があったなら……という仮定の上に成り立っている仮説だが、私は、この仮説は、それなりに信憑性が高いと思っている」

「……つまり、何が言いたいんですか」

「『管理人』と会う際は、私も一緒に居よう。恐らくは、戦いになる」

「奴は、俺の願いを叶えるつもりなんて無い……って、そういう事ですか?」

俺が絞り出した声に、リジェクトが頷く。

……仮に花子を俺と戦わせたのが、自分を殺そうとしているリジェクトの戦力を削ぐつもりだとするなら、最後の二人を俺にけしかけて来たのとも、辻褄が合うように感じる。

「『管理人』を殺したとして、俺が願いを叶えられないっていう可能性は、無いんですか?」

「……分からない。だが、君と少女がこうして奴から目の敵にされているのは、十中八九私が原因だ。……謝って済む事では当然無いが……本当に、すまない」

リジェクトは、言いながら兜を取って、俺に頭を下げた。

「……頭、上げてください。俺も花子も、一度はあなたに命を救われています。文句は、無いと思います」

兜を外したリジェクトは、正に容姿端麗という言葉が相応しい美人だった。

そんな人物に、今にも泣きそうな程に辛い表情をさせているのが、情けなく思えてくるほどに。

「……ありがとう。せめて、既に朽ちかけた騎士の誇りと、とうに無くなってしまった、わが祖国の名誉に賭けて、君を護ろう」

俺の言葉を聞いたリジェクトはその場に跪いた。

俺の右手を自身の右手で優しく掴むと、その姿勢のまま、山吹色の目で俺を見つめる。

「なら、安心して戦えます。……改めてよろしく。リジェクト」

「ああ。よろしく頼む。誤」

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