第二十二話「もう、折れない」
「勝者、識知 誤様‼」
「……」
冷たくなった花子の身体を抱えたまま、俺は立ち上がる。
もう、折れない。
「……?」
立ち上がり『管理人』を睨む俺に気が付いたのか、奴はこちらを向く。
「勝者には『願いを叶える権利』が与えられます。では皆様、またお会い出来ることを、楽しみにしております」
俺嘲嗤いながら『管理人』は言う。
次の瞬間、グラリと足元が揺れたと錯覚する程の眠気が俺を襲い、そしてそのまま、俺は意識を失った。
「……」
目を開けると、そこは俺の部屋の、俺のベッドだった。
身体を起こし、花子の部屋を見てみる。
誰も居ない。居た形跡も、無い。
こみ上がる感情を飲み込む。
吐き出すのは、全部、終わってからだ。
俺は洗面所へ向かい、顔を洗い、歯を磨き、髪を整えてリビングに行く。
リジェクトは、戻って来ていた。
「……おはよう、少年」
「おはようございます。……今日はこれから、残りの二人を捜しに行きます」
何があったかは、大まかに把握していた。
朝食を食べるつもりは無かったので、椅子に座っているリジェクトには軽く挨拶をして通り過ぎ、必要最低限の荷物を鞄に詰める。
「……そうか。私も捜しに行こう」
「分かりました」
リジェクトの提案に頷き、俺はスマホを起動し【異能アプリ】をタップする。
何やら、通知が来ていた。
「……新機能?」
軽く触ってみたが、どうやら機能として、他の利用者と自身の位置を表示する、いわばレーダのような機能だった。
「これで捜せって事かよ。ふざけやがって」
「一緒に動こう、少年。一人では危険だ」
「そうですね。では、ここから近い方へ行きましょうか」
「ああ」
相変わらず鎧を脱がないリジェクトは、もう殆ど喋らず、黙々と俺についてきた。
残っている参加者は、俺を除いて二人。
『双葉 優』と『羽滝 望』。
羽滝の方へ向かった俺達は、向こうからこちらに近付いて来ていた羽滝と行き遭った。
彼女は、俺を殺すつもりだった。説得も意味を成さず、戦いになり、そして……。俺は彼女を、花子と同じ様に殺した。途中、倒れまいと自身を鼓舞する為なのか、
「私には叶えたい……いや、叶えなきゃいけない願いがある」と言っていたが、殺した。
もう後戻りはできないし、しない。
そんな俺の行為を、俺自身が咎めるように、頭痛だけは、消えてくれない。




