第十八・五話「墓穴」
「ふむ——。少女の様子がおかしい、と?」
「はい。何というか、ずっと何かに葛藤しているような……」
夕方。山田が自分の部屋で昼寝をしたのを確認した俺は、家事で忙しくしていたリジェクトに声を掛けた。
現在、俺とリジェクトは向き合っており、俺の正面には言わずもがな、西洋の鎧騎士が姿勢良く座っている。
「——そう、だな。確かに、私から見ても、少女は隠し事をしているように見える」
少し考えるように鎧の顎部分に右手を当て、リジェクトは言う。
てっきり何も気付いていないと思っていた俺は、やや驚いて、前のめりに訊く。
「気付いてたんですか?てっきり……」
「そういう事に疎いと思った、かい?私も一応女だからな。勘も働くし、少女ぐらいの年齢の女子の考えそうな事も、何となく分かる」「うっ……すみません。正直能天気で良いな、と思ってました……」
「そこまでだとは思わなかったなぁ」
「えっ」
図星を突かれた上、墓穴を掘ってしまった……。
「ははは。面白い顔をしているぞ、少年」
愉快そうに笑うリジェクトはしかし、心なしか、声に元気が無いように感じられた。
「……」
「まぁそう睨むな。私としては、少年が私に相談してきてくれてうれしいのだが……」
「だが?」
「うん。やはり、私の口からは、な」
「……?」
珍しく煮え切らない態度のリジェクトに、俺は無意識的に睨む様な視線を送っていたらしく、その圧のせいなのかは分からないが、リジェクトは更に言い淀み、結局、
「まぁとにかく、私の口からは言えん。どうしても気になるなら、少女に直接訊くしかないだろう」
と、半ば逃げるように言い切って、「コンビニに行く‼」と叫んで出かけてしまった。
しかも鎧姿のままで。
なんなんだ、一体……?
山田が起きたら訊いてみるか。




