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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第二章 それいけニビル探検隊
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第1話「英文読解って何に使うんですかね?」

――天原衛


 夏休みニビルへ行く。

 そんな映画〇ラえもんみたいな計画を立てた俺達が最初に取り掛かったのは、期末テストに向けた試験勉強であった。

 ニビルと地球との間の転送ゲートは新月の晩だけ開くことができるらしいのだが、期末テストで3教科以上35点以下を取ると7月一杯夏期講習で学校に通わないといけなくなってしまう。

 夏休みに入って最初の新月が7月28日なのでこれは非常に困る。

 無視するという手もあるが2学期以降も学校に通うことを考えると、無暗に波風を立てるのは良くないという話になった。

 そんな訳で、天草諸島から帰ってきた俺達は血の涙を流しながら英単語を詰め込み、数学の問題をウンウン言いながら解きまくる日々を送ることになった。

 ちなみに由香の苦手科目は英単語をとにかく暗記することが必要な英語なので、一人で勉強しても特に問題ないとはずなのだが、彼女曰く。


「一人で勉強してたら気が滅入るから一緒に勉強してくださいよ、数学は得意なので教師役も出来ると思いますよ」


 と、いって上がり込んできた。

 俺の部屋を勉強部屋として開放して、恵子、ミ・ミカ、由香の3人と一緒に勉強会をしている。

 生まれて初めて女子を部屋に入れる貴重な体験なのはずなんだが、メンツがメンツなのであまりドキドキ感はない。

 勉強開始から一時間。


「英文読解って何に使うんですかね? 英単語覚えたって日本に居たらほとんど使わないと思うんですよね」


 ノートに英単語を書き続ける作業に飽きてきた由香が、中学生らしく苦手科目について役に立たないという愚痴を言い始める。


「英語は外国に行ったら使うかもしれないだろ、それより因数分解の方が利用価値は低いだろ、こんな小難しい計算何に使うんだよ」

「魔法のイメージを作るのに高等数学は必須よ、レーザーにしろ、カマイタチにしろ、威力や投射をある程度計算しないと明後日の方向に飛んでいくから」


 俺が苦手な数学について愚痴を垂れると、隣でノートにガリガリ何か書いていた恵子がツッコミを入れる。


「あれ計算して出してたのか!?」

「そらそうでしょ、例えばレーザーの場合、光エネルギの出力、光を絞る重力レンズの厚さや形状、放出するレーザーの投射角を計算しないと誤射するじゃない」


 意外な場所で、ニビルの民のスゴイ能力の一端を垣間見てしまった。


「バケモノみたいな目で見ないでくださいよ。慣れですよ慣れ、難しい計算も慣れれば九九みたいに一瞬で暗算できるようになります。あと、私達の場合『赤い石』が情報処理の補助をしてくれる特典もあるので」

「アヌンナキならでは特典か、チートだな」


 ミ・ミカとムツキが使える魔法が少ない理由がわかった。

 こんなチートに追いつくためには、特定分野に絞って修行しないととても追いつかない。

 むしろ、互角に張り合える二人の方が異常なのかもしれない。


「赤い石が私の代わりに英単語覚えてくれればいいんですけどねえ。私、英語テストの英単語丸暗記スタイルは嫌いです」

「スペルミスくらい許して欲しいよな」


 俺は「ⅰ」と「l」を書き間違えて減点された過去を思い出して、コクコクとうなずく。


「ところで、恵子とミ・ミカは何やってるんだ?」


 恵子とミ・ミカの二人は勉強が始まってからずっと顔を突き合わせて勉強をしていた。

 学年が違うのでテスト範囲は全く違うはずなのだが、何をしているのか少し気になる。


「教科書の内容をアナンガ語に訳して、内容をミ・ミカに説明してるの」

「申し訳ないです、私が日本語読めないばっかりに」


 恵子さん、なんかサラッとすごいことやっていませんか。


「これけっこう大変のよ、日本特有の概念でアナンガ語に当てはまる単語が無い表現も多いから、最悪チョベリバとかエモイみたいな造語考えないといけないの」

「ここ5日で、アナンガ語の新しい単語が10個くらい増えました」

「最近二人は根詰めて机に向かってると思ったら、そんなことしてたのか……なあ確認だがミ・ミカに説明するためということは、訳すのって全教科?」

「ええ、全部の教科書だけど。あっ、来年のこともあるから三年の教科書もアナンガ語訳作った方がいいかしら」


 我が妹よ、気のせいでなければあなたがやっているのは大学教授とかがやる仕事だと思うよ。


「しかし、意外だな。ミ・ミカが日本語の読み書き無理なんて、話すときは日本語でペラペラ話してるからナーロッパ的なノリで言葉わかるんだと思ってた」


 意外ではあるが不思議ではない、ミ・ミカは外国人なので日本語の読み書きに不安があると改めて言われたら仕方ないことだと納得できる。


「先生には『ミ・ミカさんは日本に来たばかりだし成績が悪くても、一切気にしないで』と言われてるんですが、ちゃんと勉強して最低限は出来るところを見せたいと思いまして」


 エモイ! ミ・ミカみたいな小柄な女の子が頑張るぞいと、両手をぐっと握りしめる姿はかわいすぎて思わず抱きしめたくなる。


「かわいい! 恵子さん、護衛の人、ミ・ミカさんとムツキで交換してくださいよ。ムツキの奴、生意気だけど腕は立ちますよ」

「ダメ! ミ・ミカは私の護衛なの」


 恵子はミ・ミカを取られまいと、ギュッと抱きしめてガードして、抱きしめられたミ・ミカは明らかに困惑している。

 目の前で繰り広げられる美少女動物園に俺はほっこりと和む、しばらくこれを見ていたいと思った矢先。


「お茶を入れました。皆さんも糖分補給をするといいですわ」

「喜べ、今日はホットケーキを焼いてくれたのだ」


 ドアを開けて入ってきたのはムツキと、天草教の大主教サクラさんだった。


「あっ、本当に天原家に居るんですね」


 両手にホットケーキやお茶の入ったお盆を持ったサクラさんを見て、由香の両目がまんまるになる。

 先の戦いで勢い余って自分の家である寺院をぶっ壊してしてしまったサクラさんは天草から帰る俺達に。


「お願い、寝るところが無いのッ! ホテル住まいを続けるお金ないからお願い泊めて」


 と、とんでもないお願いをぶっこんで来たのである。

 しかし、三か月前までずっと一人暮らしだった家に女性が3人も暮らすことになるとは、人生何が起こるかわからんものだ。

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