プロローグ
――天原衛
ニビルの創造神ティアマトと、自分の作った世界に多種多様な生物を創造した。
同時に、五〇〇〇年周期で地球と生き物の交換を行い、ニビルの生き物達に進化を強いる環境変化の圧を与え続けた。
地球とニビルの生き物が混ざり合い、自分がどこで生まれた生き物なのか忘れてしまったころ彼らは生まれた。
ムシュマッヘ
ウシュムガル
ムシュフシュ
ウガルルム
ウリディンム
ウム・ダブルチュ
ラハム
ギルタブリル
クサリク
バシュム
クルール
古代バビロニアで発掘された粘土板エヌマ・エリシュで語られている『ティアマトが生み出した11の怪物』の正体が実はシュメール人の生まれ故郷である異世界ニビルに生息する11種類の知的生命体のことだったなんて、考古学の大先生だって想像できないだろう。
11の怪物の大半は地球とニビルの生物交換の中で誕生したという。
クサリクは地球人、正確にはホモ・サピエンスから。
ウム・ダブルチュはフクロウ、正確にはワシ・ミミズクから。
彼らは高度な知性・感情・強力な魔法を持っているが、見た目は元になった生き物とほとんど変わらない。
彼らはニビルで生態系の頂点に立つ11氏族と呼ばれ一応の共存を成し遂げているらしい。
ミ・ミカ曰く。
「争いや戦争は日常茶飯事ですよ、自分と全く違う姿の生き物だから、殺し合いのハードルは同族に比べて圧倒的に低くなります」
由香曰く。
「全ての種族が生き残っているのは、地球と違って各種族の力が互角で勢力均衡が保たれているからです」
ムツキ曰く。
「食べ物を奪い合うことが無ければ他種族に喧嘩するほどの興味を持たないのだ。例えば、私達が海に住んでるクルールの住処奪っても使い道ないのだ」
恵子曰く。
「一人しかない種族もいるのよ、ムシュマッヘ、ウシュムガル、ラハムは複数個体の確認はされていないわ。ただし、ピンでアメリカ軍に勝てるくらい強いんだけどね」
そんな感じでニビルの知的生命体について色々聞かせてもらったが、一番怖かったのは何の生き物から進化したのかよくわからない奴もいるという情報だ。
地球にいる生き物から進化したなら姿形も多少は想像できるが、全く知らない生き物が地球に移民してきたらどんな混乱が起こるか想像もつかない。
ちなみにクサリク、ウム・ダブルチュ以外の種族が地球に降りてくる可能性について聞いてみたところ。
「ニビルの生命を進化させるためならティアマトは手段を選ばないと思う。最悪の場合、ギルタブリルが地球に来る可能性があるかも」
「最悪って、そのギルタブリルってのは何者なんだ?」
「えっとね、日本にいるオオスズメバチから進化した知的生命体」
「絶対にやめさせろッ!!」
そんな感じでイロイロと衝撃的な情報を知っ俺達は、サクラさんの依頼を受けて異世界ニビルの現地調査を行うことにした。
第2章開始、今回からは恵子が誘拐されていた異世界ニビルに旅立ちます。




