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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第30話「そんな与太話信じろと」

――天原衛


 恵子が『覚醒』の魔法を使うと、岡田がゆっくりと目を覚ました。


「よっ、岡田さんよく眠れたかい?」


 岡田は俺の顔を見たあと、周囲を取り囲む三人娘とムツキの様子をしばらく観察する。


「なにも話すことはない。さっさと殺せよ」


 と、つぶやいて岡田は口を噤む。


「なんなのその態度ッ! あなたのせいで私がどれほど心配したと思ってるの。死んで楽になりたいなんて許されるわけないでしょ!?」

「恵子、どうどう~。キレたら負けだって」

「どうせ自分は殺されないと思っているのだ。私達は舐められてるのだ」


 ムツキが岡田の頭に乗って、ツンツンとあちこちを嘴で突く。


「ムツキもやめとけ、手加減しない程度の力で突いても脅しにならないから」

「衛なにを言ってるんだ。こういう輩には痛い目を見せてやるのだ」


 ムツキはやってやるぞと言わんばかりに翼を広げて威嚇ポーズを取るが、俺にも判るくらい全く殺意を感じなかった。


「じゃあ、マジで殺すか? お前が手ずから」

「イヤなのだ~」


 脅しが無理だと判断したムツキは、岡田の頭からぴょんと飛び降りる。


「殺せとおっしゃるが、俺達はそんな無意味な殺しはしたくないです。岡田さんは魔法使えることは隠すの当たり前だと言ってたけど、俺達はそんな常識知らんのですよ。理由を教えてくれないかな? 魔法使いの常識なら話しても岡田さんも、岡田さんの雇い主も別に損しないでしょ」

「事情を話してくれたら、持ち物を返すし、解放もしますよ。正直、貴方くらいのザ――力の持ち主を解放しても、私達は特に脅威を感じませんので」


 あっ、岡田さんのコメカミがピクピクしてる。

 由香よ、雑魚という言葉を飲み込んでも、発言の失礼さは全く改善されてないからな。


「どうするの? この雑魚、拷問しても何も話さないわよ」


 俺達は、一斉に振り向いて恵子の顔をジッと見る。

 恵子の奴、由香ですら飲み込んだ雑魚の二文字をハッキリ言いやがった。


「岡田さん、けっして弱くなかったですよ。私、手傷を負ったし剣も折られたし」


 ミ・ミカはいい娘だと思うが、現状無傷でピンピンしてる奴が擁護してもあまり説得力はない。


「はいはい、君達、話が進まなくなるから少し黙ろうね」


 俺はパンパンと手を鳴らしてフリーダムな発言を取り始めた三人娘を黙らせ、岡田さんの眼前で胡坐をかく。


「先に、俺達の事情を話しますね。魔法使えることは隠すの当たり前だと言ってたけど、俺達はそんな常識知らないです。なんでかというと、ここに居る四人がニビルって名前の異世界から来た異世界人だからです。ちなみに、そこに居る話をするフクロウは、ニビルでウム・ダブルチュって呼ばれる知的生命体で、こんな成りだけど人です」

「こんな成りとはヒドイのだ。私から見たら地球人や、クサリクの方が変な姿だぞ」


 岡田さんは以前沈黙を保ったままだが、目でムツキを追っている。

 彼は先ほど、ミ・ミカのバケモノぶりを見せつけられたばかりだし、一緒に人間と同じように話をするフクロウ居たら無関心ではいられないだろう。


「で、なんで異世界人がここに居るかなんだけど、彼女達のお仲間が地球への移民を希望してるんですよ。ここに居る四人は異世界からくる移民団のガイド役ですね」

「そんな与太話信じろと」

「信じても、信じなくても異世界から移民は地球に来ますよ。さっき岡田さんが戦ったミ・ミカはクサリクって呼ばれる異世界人で、今後、彼女の仲間が三万人くらい地球に来る予定です。ムツキの仲間は五万人来る予定だって言ってます」

「多すぎるだろ、世界中が大混乱になるぞッ!」


 思わずツッコミを入れた岡田は、ハッとしたように口を閉じる。


「もう一度言います。信じても、信じなくても異世界から移民は地球に来ますよ」

 

 勝った。

 さっきのツッコミが全てだ。岡田の脳内で俺達は放置するには危険すぎる存在だと認識された。

 岡田は額にしわを寄せ、俺の目をジッと見つめてくる。


「一つ質問いいか?」

「いいですよ、隠すことは特に無いし」

「あそこにいる三人の女の子と、ムツキは異世界人だと言ってたが、お前は何者だ?」

「俺? 俺はただの中学生ですよ。一応、魔法は習ってるけど、まだ修行初めて一か月の雑魚です。俺が弱いのは岡田さんも知ってるでしょ」


 ミ・ミカに頭突きされて、俺が昨夜ろくに抵抗できずに倒されたのを忘れたのだろうか。


「ホントに、本当に中学生なのか?」

「ホントですよ、学生証見せましょうか」

「いやいい、お前はくだらないウソは言わんだろ」


 岡田は諦めたようにポツリポツリと話しを始めた。


「魔法使いが魔法の存在を隠す理由は大きく分けて二つ。一つは、魔法を隠すことに単純にメリットがあるからだ。魔法の存在が世間に知られていなければ魔法使いは魔法を使って、一般人を出し抜くことが出来る」


 意外と普通の理由だな。岡田の言う通り、魔法の存在が世間に知られていなければ、魔法使いは裏でやりたい放題出来る。


「もっともこれは表向き、後付け理由だ。一番重要なのは、魔王の誕生を阻止することだ」

「魔王、ド〇クエみたいに地下に封じられた魔族が地球に居るの?」


 恵子が挙手をして質問をする。

 彼女の言う通り、魔王と呼ばれてパッと思いつくのは、ド〇クエやナーロッパに出てくる悪の大ボスのことだ。

 最近はときどき主人公にもなる。


「そういうのとは違う。魔法使いの間で魔王と呼ばれるのは、魔法の力で人々を支配する者のことだ。例えば古代イスラエル王国のソロモン王みたいに」

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