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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第25話「お兄ちゃん、どこに居るのよ」

――天原恵子。


 天原家は木造二階建の一軒家で、大まかな間取りは一階に台所とリビング、そして和室が一室。

 二階に子供部屋用の八畳間と、お母さんの部屋になっていた七畳間、そして物置として使っている部屋がある。

 お兄ちゃんは二段ベッドのある子供部屋を使い続けていたので、最初は私とお兄ちゃんが子供部屋で寝てミ・ミカにお母さんの部屋を使ってもらおうと思ったのだが、この部屋割りはミ・ミカに強硬に反対された。


「年頃の男女が一緒の部屋で寝起きするなんて不潔です、不潔、不潔、不潔!!」


 こんな感じで不潔を超連呼されたので、現在はお兄ちゃんにお母さんの部屋へ移ってもらって、私とミ・ミカが子供部屋の二段ベッドで寝起きしている。

 もっとも、お兄ちゃんはお風呂場から二階まで裸で移動する(さすがに注意して止めさせた)残念なところがあるのでこの部屋割りは正解だったかもしれない。


「でも、この部屋割りだとお兄ちゃんが一人で何かしてても判らないのはちょっと不便よね」

「いやいや、お兄さんは男の子なんだから、そこは察してあげましょうよ」


 ミ・ミカがなにを言いたいのかよくわからないが、お兄ちゃんが起きてこないのは確かだ。

 現在の時間は午前五時。

 夕方だけでは時間が足りないので私達は早朝に走り込みを中心としたトレーニングをしているのだが、ここ一か月はお兄ちゃんも朝トレに欠かさず参加していた。

 時間通りに起きるのは得意という本人の弁の通り、基本的に私達より先に準備を済ませて下で待っていることが多いので起きてこないと少し心配になる。


「お兄ちゃん、朝だよ! 絶対に朝トレに出ろとは言わないけど体調が悪いなら教えて欲しいんだけど」


 ドアをトントンと叩いてから、声をかけるが返事はない。


「お兄さん、寝るんじゃないですか?」

「寝てるだけならいいんだけど……お兄ちゃん、開けるよ――」


 ドアを開けてみると、お兄ちゃんの姿はない。


「あれ、ミ・ミカ、下でお兄ちゃん見た?」


 ミ・ミカは無言で首を横に振る。


「私も見てないし、トイレかな?」

「トイレにもいませんね」


 お風呂場にも、物置にもお兄ちゃんの姿はない。


「どういうこと? なんでお兄ちゃん消えてるの」

「そんなこと言われても、私にもわかりませんよ~」


 改めて家の中を二人で探し回ったが、何処にもお兄ちゃんの姿は見あたらない。


「お兄ちゃん、どこに行ったのよ。まさか、中島由香が!!」

「恵子、冷静になってください。由香さんかムツキが誘拐したなら、この家の結界に引っかかります。魔法を使ったら、魔力感知にも引っかかりますよ」

「そ、そうよね」


 セコ〇の代わりではないが、この家には侵入者が来た場合それを家の住人に知らせる結界を敷設している。戦争してるわけじゃないので、大げさな魔法防御で家を固めるつもりはないが、最低限の備えくらいはしているのだ。

 付け加えると、魔法使いは自分の周囲誰かが魔法を使ったら第六感でそれを感知することが出来る。

 高位の魔法使いの中には、他人に魔法を使っていることを悟られないよう隠蔽する技術に優れた者もいるが、少なくとも由香とムツキの魔法は普通に感知することが出来た。


「じゃあ、私と同じようにティアマトが誘拐したとか?」

「同じですよ、ティアマトだって魔法を使って力を行使するんだから、結界にも魔力感知にも引っかかります。仮に両方を避けるくらいすごい魔法を使えるとしても、なんのためにお兄さんを誘拐するんですか?」

「だって、だって、だって」


 昨日の夜、いつもと同じようにおやすみを言った人の姿が見当たらないなんて、わけがわからない。

 ジットリとなんとなく嫌な予感が頭の中を冒していく。


「買い物に行ってるだけかも。そうだ、スマホで連絡とりましょう」


 L〇NEを見ても、お兄ちゃんから書置きは届いていない。

 ミ・ミカが電話をかけてみたが――。


『おかけになった電話は電波の届かない場所にいるか、電源が入っておりません』


 と、無感情な機械音が、お兄ちゃんのスマホに連絡出来ないことを知らせてくる。

 とうとう八方塞になり、私はその場で膝を抱えて座り込む。


「お兄ちゃん、どこに居るのよ」


 五年ぶりに再会してまだ二ヵ月しか経っていない。

 コレからはずっと一緒に居られるそう思っていたのに。


「恵子、まだ失踪と決まったわけじゃないから冷静になってください。お兄さんがどこに居るか探せる魔法があればいいんだけど」

「……あるわよ」

「はあっ?」

「お兄ちゃんは私の使い魔になってるから、私と魂みたいなものが繋がってるの。だから、居場所も探れば判るし、目や耳の感覚を共有することも出来るわね」

「おい、恵子ッ!!」


 ミ・ミカに怒鳴られてしまった。

 まあ、散々大騒ぎした私が一番大事なことを忘れていたんだから文句の一つも言いたくなるだろう。


「ゴメン、ゴメン。いまから探ってみるね」


 私は目をつむり闇の中でお兄ちゃんと繋がれた魂の糸を手繰る。

 大丈夫、私とお兄ちゃんの魂はつながっている、何があっても絶対に離れることはない。


「捕まえた! お兄ちゃんが現在地は北の方角に一八キロくらいかな。ミ・ミカ、地図を見せて」

「どうぞ……一八キロって、ちょっと遠いですね」


 ミ・ミカがスマホの地図アプリを立ち上げて見せてくれる。

 飛行魔法の使えないお兄ちゃんがふらっと立ち寄れる距離じゃない、どうやら何かのトラブルに巻き込まれたと考えた方がよさそうだ。


「それじゃ、ちょっと目と耳を借りてみようかな」


 私は魂の糸を手繰り、お兄ちゃんの視界にアクセスした。

魔法感知の設定いきなり出てきたけど勘弁してください。

今後は生かしたいと思います。

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