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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第23話「消された動画だけど、捨てアカ作って、もう一度投稿してみる」

――天原衛


 現在の時間は午後四時半過ぎ。

 一日の授業が終わり、ミ・ミカと合流して一緒に家に帰ろうとする矢先。


「お兄ちゃん、動画消されてるよ」


 異変に気が付いた恵子がスマホの画面を広げて俺に向けてくる。

 彼女が見せてくれたスマホの画面には『センシティブな内容のため、この動画は視聴できません』と書かれていた。


「なんじゃこれ?」


 俺は恵子の手をとり差し出されたスマホの画面を釘入るように見た。


「この動画、今朝は普通に見れたよな……」


 俺が投稿した『魔法でやってみたシリーズ』の件で、今朝山野さんと話をしたばかりだ。


「どうするの?」

「とりあえず運営に抗議と、再審査請求だな」


 ミ・ミカと合流して家に帰った俺は、さっそく自宅のパソコンから動画削除に対する抗議と、アカウント停止に対する再審査請求を送付する。


「これで良しと」

「私達、何か悪いことしんたんでしょうか?」


 俺が運営にメールを送るのを見届けたミ・ミカが不安そうな顔でそうつぶやく。


「いや変でしょ、どう考えたって。屋外で薪に火を付けたら何が悪いっていうのよッ!」


 恵子の憤慨はもっともだ。

 俺が投稿していた動画で犯罪に関わる内容のものは一切なかったし、警告や収益停止、動画の削除ではなく、いきなりアカウント停止は処分として重過ぎる。


「あれ? 変じゃないか」


 そう変だ。

 ここ1か月で俺はさんざん経験している。

 常識に当てはめて納得できない出来事、違和感のある出来事が起こる場合、そこには必ず裏がある。


「消された動画だけど、捨てアカ作って、もう一度投稿してみる」

「なんで? また消されちゃうかもしれないわよ」

「別に消されてもいい。ただ、次は記録を取って、この事実を別のSNSで拡散する」


 動画の投稿時間、内容、削除された時間。

 全てスクショを取って、運営が理不尽な垢BANを行ったことを拡散してやればいい。

 事前に準備さえしておけば俺はパソコンの前で数分作業するだけでことが済む。


「この垢BANは普通じゃない。普通じゃない対応には必ず裏がある。この画面の向こう側に、俺達の動画を邪魔だと思っている奴がいるんだ」

「しつこく動画投稿し続けることで、その『誰かさん』を釣り出すってわけね」

「上手く釣れますかね」

「持久戦になると思うが、時間をかければ『誰かさん』に不都合な事実が世の中に拡散されていくからな。せいぜいジックリ待ってやるさ」


 俺は考えをまとめると、淡々と捨てアカ取得の作業を開始した。




 俺の予想は的中した。


「衛さん、衛さん。〇ou〇ubeのアカウントが停止されてるみたいなんですが、何かありましたか?」

「ミラーも停止されてるぞ。時間は昨日の午後11時48分。おおよそ7時間で垢BANされてる」


 翌日、学校にきた俺達は待ち構えていた由香に呼び止められた。

 俺は昨日の放課後、恵子が〇ou〇ubeの垢BANに気づいたことと、その後に立てた作戦について説明する。


「そういうことはもっと早く教えてくださいよ~」

「ゴメン、ゴメン、恵子かミ・ミカから連絡行くと思ってたわ」

「まっ、結果オーライのようだから許します。しかし、いきなり垢BANとか厳しいというか……相手はバカなんですかねえ?」


 動画を投稿した端から削除するというヒステリックな対応をしたら『自分達は怪しいです』と暴露しているようなものだ。


「いくら不都合な内容が映ってても、再生回数100回の動画に拡散力なんて無いからな」

「とりあえず、SNSで拡散するなら私も協力しますよ」

「頼む、出来れば山野さんに知らせて協力をお願いしてくれ」


 今回の件を機に俺、恵子、ミ・ミカの三人もT〇itterのアカウントを取ったが、山野さんが協力してくれれば拡散力がケタ違いだ。


「自分で頼めばいいじゃないですか。クラスメートなんだしもっと仲良くしてくださいよ」

「ムリムリ、身内以外が相手だといまだに緊張して会話できなくなる」


 俺はとにかく話題を選んでオフィシャルトークをするのが苦手だ。

 クラスメイトだって腹の内をすべてさらけ出して話してるわけではないだろうに、流暢に会話を成立させているのが不思議でならない。


「世話が焼けるわねえ、普通に話せばいいのよ普通に」

「それが許されるのは世界でお前だけだからな」


 全て本音で話しても許されるのは恵子みたいな成績が良くて運動も出来る美少女だけだ。




 そんな訳で、山野さんの協力も取り付けて俺の動画削除への抗議活動を開始した。

 結論からいえばT〇itterと連携した抗議活動は意外と上手くいった。

 キッチリ記録を取っていたのが幸いしたのか、『7時間で垢BANされました意味が分かりません』というt〇eetがバズったのだ。


「ただ、イマイチ納得いかないのはなんで俺じゃなくて恵子のt〇eetがバズるんだ? 俺がオリジナルだろ」


 いいねの数は、俺のアカウントが五で、恵子のアカウントが一一二、事実が拡散できれば何も問題ないのだがイマイチ納得がいかない。


「なんでかしら? お兄ちゃんも注目集まるために漫画の感想とかつぶやいてるのにねえ」


 俺のT〇eetは漫画やネットニュースの感想で、恵子のT〇eetは気まぐれで撮った写真とか生活の中で感じたことを投稿している。

 内容に目新しさが無いのはお互い様だ。


「恵子さんの方が注目される理由は、恵子さんが女子中学生だからだと思いますよ」


 由香の言葉に俺は眼からウロコが落ちると同時に、世界の闇をかいま見た気がした。

実際に魔法使ってる動画投稿したら、どんな反応が来るんでしょうか。

創造してみるのも面白いかもしれません。

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