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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第22話「実は私は魔法使いで、本当に魔法使ってるんだけどね」

――天原衛。


「おはよう。ねえねえ、私、衛君達が投稿した動画見たんだけど」


 朝、教室に入るとオシャレ女子山野さんに声をかけられる。


「おっ、おはようございます」

「やっだー! クラスメイトなんから緊張しないでよ」


 ペコリと腰を折ってお礼をいう。

 山野さんは手を振って緊張するなアピールをしてくるが、いまだに恵子、ミ・ミカ、由香以外の女子と話すと腹の中がザラザラする。


「まあいいや、動画けっこうおもしろかったから感想言いたくてさ。いいと思う『魔法でやってみたシリーズ』」


 恵子が指から火を出して薪に火をつける『魔法で火をつけてみた』が好評だったので、そのあと魔法でやってみたシリーズと称して、ミ・ミカが川の上を歩いたり、由香が風を起こして縁石の上に並べた空き缶をなぎ倒す動画を投稿してみた。

 別に人気〇ou〇uberになったわけではないが、どの動画も一〇〇回弱の再生数はカウントしていてコメントも一、二件付いている。


「あっ、由香おはよう! 動画見たよ風を起こすやつ」

「あれ見たんですか――どうでしたか?」

「かわいかったよ、空き缶もって照れ笑い浮かべてるのが特に。由香はカッコいい系もいけるから、もっと表情を研究すべき」

「自分でやってて、自慢していいのか迷うんですよね」


 少し遅れて教室に入ってきた由香は、自分の出演した動画の感想を言われて怪訝そうな顔になる。

 由香自身にはしょぼい魔法を使ったという意識があるので、どや顔決めるのはイヤだったみたいだ。


「ところで動画の編集って衛君がやってるの?」

「いっ、いちおう、パソコン持ってるの俺だけだし」

「地味に神編集だと思って感心してたんだ。どの動画も全然合成に見えなくて自然な感じだったし」


 魔法使うシーンCG合成してないからなあ。


「実は私は魔法使いで、本当に魔法使ってるんだけどね」

「またまた~」


 恵子がドキッとする発言をする。

 含みを持たせた言い方に聞こえるが、多分彼女はなにも考えていない。

 実際に魔法を使っているところを見せたら信じてくれるかもしれないが……。


「恵子さん、教室で騒ぎ起こさないでくださいね」

「動物園のライオンと同じだ、わかるな?」


 恵子はしばらく無言で考え込んでから。


「わかった」


 と、一言だけ呟いた。

 動物園のライオンを見て楽しいと思うのはそれが、オリの中にいて自分が安全だからだ。

 魔法使いも同じだ。

 人を殺せる魔法を使える人間が自分の目の前にいたら、多くの人が恐怖を感じるだろう。


「そうそう、これも言いたかったんだけど、顔出しで動画配信したら変なファンが付くことあるから注意してね。〇ou〇ubeは、〇ik〇okに比べていろんな人が見てるから、その……」

「ストーカーなら出たわよ」


 口止めしようとした矢先、恵子は今朝ストーカー騒動があったことを告白してしまう。


「えっ!?」

「えええ!?」


 その告白に山野さんだけでなく、由香も驚きの声を発する。


「うちの家族……私とお兄ちゃんとミ・ミカのことなんだけど、毎朝五時から近所の河原で走り込みとかやってるの。で、今朝河原の方で待ち伏せしてる奴がいたんだよね」


 相手は四〇代くらいのオッサンで、ハゲ・デブ・クサイの三拍子がそろった俺から見てもちょっと、いやすごくヤバイ人だった。


「動画の中にミ・ミカが川の上歩く奴があるだろ。多分、河原の地形と背景の建物から場所を特定したんだと思う」

「そんなこと出来るんですか!?」

「他に考えられないんだよ」


 世の中には、芸能人の写真を解析して、瞳に映った建物の形から住所を特定する変態も存在する。


「大丈夫だった? 恵子もミ・ミカさんも警察に相談したの!?」


 本気で心配してくれる山野さんはいい人だ。

 ストーカーに目を付けられた場合、普通の女の子だとおちおち外も歩けなくなるので本当に大変だと思う。


「大丈夫、大丈夫、投げ飛ばして川に叩き込んだから、もう来ないと思うわ」


 ただ、天原恵子は普通の女の子ではなかった。

 彼女は愛の告白をしてきたオッサンに「気持ち悪いから消えてくれない」と平然と言い放ち、逆上してつかみかかってきたオッサンの腕を取って川に投げ飛ばしてしまった。


「その後が大変だったんだよね。川底が意外と深くてオッサンがおぼれ死にそうになってたから、救助する羽目になったし」


 一連の流れを聞いた山野さんと由香は絶句していた。

 無理もない。

 朝現場に居合わせた俺とミ・ミカも、恵子の大雑把な対応に目が点になっていた。


「ヤマノン、信じられないかもしれませんが彼女は……」

「大丈夫、私もいい加減、恵子のキャラわかってきたから嫌ったりしない。ただ、いつもこれをフォローしてる衛君は神だと思う。恵子、お兄ちゃんを大切にするんだよ」


 天原恵子を理解してしまった山野さんから激励をもらう。

 そう彼女は悪い娘じゃないんです、ただ普通の人より正直なんです。


「お兄ちゃんは大切にするけど……さすがの、私も悪口言われてるのわかるんだけど」


 あと美少女は得である。

 恵子がプウッと頬を膨らませる姿がとてもかわいい。




 放課後、俺の〇ou〇ubeアカウントが停止されていることに、一番最初に気づいたのは恵子だった。

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