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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第17話「じゃあ第一試合は恵子さん対ミ・ミカさんにしましょう」

 ――天原衛


 というわけで、俺の初めての魔法使い体験は終了した。


「今日の訓練はアナンガ王国の学校で教えている戦闘訓練の授業を真似たんですが、どうでしたか?」

「とにかく『痛い』。これを学校の授業でやるとかクサリクは全員マゾなのか?」

「あはは……」


 ミ・ミカがバツの悪そうな顔で苦笑いを浮かべる。

 鉄のように固いミ・ミカの身体を殴るたびに指の骨が折れて痛いし、殴られたらガードした両腕の骨と肋骨が折れて痛い。

 ただし怪我は恵子がすぐに治してくれた。

 ビックリするほどキレイに治るので、肉体再生魔法も込みで訓練の安全性を担保しているんだと思うが、こんな授業を学校ですべての生徒が受けているなんてにわかに信じられない。


「でも、お兄さんは、いいですよ。本当に才能あります」

「悪いけど全く実感沸かないわ。俺は神様からチート能力もらったわけじゃないからな」


 ナーロッパのチート主人公みたいに便利な特殊能力がバリバリ使えるなら天狗にもなれるが、俺が今日やったのは誰でも使える肉体強化魔法を痛い思いをしながら練習しただけだ。


「チートですか……最初から強いのに越したことはありませんが、私が思う才能は、そういうのとはちょっと違うんですよね」


 ミ・ミカは含みを持たせるようにそうつぶやいた。




「それでは動画撮影兼魔法戦の試合をやってみましょうか。ルールは一対一、ファーストブラットの五回勝負でどうですか?」

「異議なしです。あと、最初は私がやりたいです。お兄さんとの訓練で身体は暖まっています」


 ミ・ミカはが元気よく手をあげるのを見て、恵子が前に進み出た。


「ミ・ミカが出るなら、相手は私がやろうかしら」

「恵子さんと、ミ・ミカさんが戦うんですか? 二人は仲間ですよね」

「だからよ、ミ・ミカと私が実戦で戦うことは無いと思うから、試合で戦うのも悪くないと思うの」

「いいでしょう恵子、今日は私が勝ちます」


 ミ・ミカは竹刀袋に入れていた剣を取り出して切っ先を恵子に突きつける。


「言うじゃない、私に勝てると思ってるの?」


 恵子が左手を正面に掲げると同時に、周囲の地面が削れ――いや、消滅した。

 消滅した地面あった場所から光の粒があふれ出し、光は恵子の手に集まって一本の弓に形を変える。


「お兄ちゃんは見るの初めてかもね。これはアヌンナキの特殊能力の一つ神器の召喚よ。私は周囲の物質を分解再構成して神器と呼ばれる専用の武器を作ることが出来るの」

「ちなみに私も作れますよ、神器。こう見えてもアヌンナキなので」


 恵子の話だとアヌンナキは創造神ティアマトに改造された不老不死の生命体で、ニビルでは神として信仰する人も多いという。

 最近感覚がマヒしかけていたが、バケモノが星野山に二人もいるなんて恐ろしいことなのかも 

 しれない。


「じゃあ第一試合は恵子さん対ミ・ミカさんにしましょう。私も二人が戦ったらどうなるか興味があります」


 そんな感じで第一試合は、恵子とミ・ミカが戦うことでカードが決まり、俺は由香に促されるまま二人と距離を取った。

 ちなみにムツキは審判をするために、恵子達のところに残っている。


「えっと、ルールがよく判らないんだが教えてもらってもいいか?」


 俺の隣で由香が、スマホを構えて撮影の準備をやっている。

 自分で提案した動画撮影だが、二〇メートル離れた位置まで来てまともに動画撮影が出来るのかはなはだ疑問だ。


「今回、恵子さんとミ・ミカさんが一対一で戦うっていうのは判りますよね。ファーストブラッドというのは先に有効打、ゲームで例えるとHPに1点でも先にダメージを与えた方が試合に勝利するって意味です。ただ、今回の試合は訓練と動画撮影が目的なのでファーストブラッドの勝負を五回やります」


 一応、三本取った方が最終的な勝者になるという形式か、ただ由香が言う通り訓練目的の試合なので勝ち越し負け越しにハッキリ言って意味は無い。

 恵子とミ・ミカは一〇メートルほど距離を置いて対峙する。


「それでは試合開始なのだ!」


 ムツキの宣言と同時に恵子とミ・ミカは同時に地面を蹴りきえ……消えてはいない、辛うじて姿は追えている。

 ミ・ミカ前へ、恵子は後ろへ、残像を描くようなすさまじいスピードで移動する。


「おい待て、二人とも一瞬でF1カーみたいに加速してるんだが」


 ゴオオオと空気を切り裂く音と、黒い残像を描きながら飛び回る二人の姿はまるでサーキットを疾走するF1カーのようだった。


「お目が高いですね、二人はニビルでも最高位の魔法使いなので立ち上がりのスピードは時速三〇〇キロに達します」

「足と背中にバーニアでも付いてるのか!?」


 ゲームに出てくる全身にバーニアを内蔵した巨大ロボがそういうスピードで飛び回っていたのを見た記憶がある。


「ちなみに三〇〇キロは立ち上がりの数字なので、もっと速くなりますよ」

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