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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第15話「動画作らないか?」

――天原衛


「動画を作らないか?」


 ス〇バから帰ってきた、恵子とミ・ミカに俺は単刀直入に切り込んだ。


「なんで? 動画を作るってヤマノンの真似」


 恵子が人差し指を口にあてて顔に疑問符を浮かべる。


「いや、俺達が作るのはアクション映画。魔法を使って戦っているところを動画に撮って、それをYo〇Tu〇eに投稿する」


 恵子に続いてミ・ミカも顔に疑問符を浮かべているので、俺は続けて説明する。


「恵子が自分は異世界から帰ってきたと告白しても誰も信じなかったって言ってたけど、例えば一万人のフォロワーが居る山野さんが自分は異世界から来たって告白する動画を投稿したらどうだ?」

「全員は無理でも、ある程度信じる人がでてくるかもしれないわね」

「そういうこと、お前らの力を動画で見せびらかして知名度を得て、その後異世界の存在を世界にアピールするんだ」

「なるほど! 無名の人間の告白と、有名な人の告白なら信憑性が全然違いますね」


 俺の考えを聞いたあと、ミ・ミカは感心したようにうなずいてくれたが、恵子が再び顔に疑問符を浮かべる。


「上手くいくのそれ? 簡単にヒ〇キンになれるとは思えないんだけど」

「そんなことは知らん。上手くいくかなんてやる前にわかるわけないだろ」

『えー!?』


 恵子とミ・ミカはそろって不満そうなうめき声をあげる。

 正直、俺は上手くいく確率は低いと思っている。

 ただ今は、移民という目的を達成するための手段が暗礁に乗り上げてるし、動画作成なら“誰も傷付けずに”目的を達成することが出来る可能性がある。


「私はいいと思いますよ、協力します」


 恵子がうーん、うーんと思考を巡らせていたが、ミ・ミカはすんなりと手をあげてくれる。


「いいのミ・ミカ? 徒労に終わる可能性が高いと思うんだけど」

「どのみち修業は必要なので、模擬戦の代わりだと思えばいいですよ。ただし、条件があります」

「なんだ?」


 俺は一度死んだ身だ。

 よほどの条件を飲んでも構うことはない。


「そのアクション映画、お兄さんにも出演してもらいます」




 ――週末。

 天原家に住むチーム:クサリクと、由香とムツキのチーム:ウム・ダブルチュは、星野山から20キロほど離れた山奥で撮影会をやることになった。

 魔法使って模擬戦をする場合、人が全く居ないところじゃないと流れ弾が怖いそうなのだ。

 由香に動画撮影の話をしたら、


「他にやる事無いので協力させていただきます」


 と、二つ返事で了承してくれた。

 ちなみに交通手段は飛行魔法である。

 人に見られる可能性を心配したが、『別に見られて困ることはない』と恵子に言い切られてしまった。

 言われてみたらその通りで、俺達が動画撮影をするのは世間に自分達が魔法使いであることをアピールするためだ。


「し、死ぬかと思った……」


 目的地に着地すると同時に、俺は膝をつきペタペタと掌で地面の感触を確かめる。

 俺は恵子に抱えてもらって移動したのだが、あの女がいきなり人や建物が豆粒に見える高さまで上昇したので移動中はずっと生きた心地がしなかった。


「山に向かう場合、最初に十分な高度取っておかないと、地面がどんどん近くなるからむしろ危険なの。これでもちゃんとスピードは抑えて飛んでたのよ」

「抑え目、あれでか?」


 飛んでいたときの風圧の体感的に、確実に時速一〇〇キロくらいは出ていた筈だ。


「お二人とも、こっちに来てください。天原君、初めての飛行魔法はどうでしたか?」


 先に到着していた由香達が手を振っている。


「ちなみにミ・ミカ達が、飛行機並みの速度ですっ飛んでいくのお兄ちゃんも見たでしょ」

「せやな」

 

 出発時、ミ・ミカ、由香、ムツキの三人は誰が最初に着くか競争すると言い出して、キーンという音を立てて消えていくのを俺は目の前で目撃している。


「実感なかったけど、お前らマジでバケモンだったんだな」


 恵子も由香も地球人と戦争しても勝てると言っていたので最初は正気を疑っていたが、どうやらブラフではなかったらしい。

 円陣を組んで準備運動を済ませるとミ・ミカが俺の前に進み出た。

 今日のミ・ミカは動きやすさを重視して学校指定のジャージを身に着けている。

 恵子と、由香も同じく学校指定のジャージなのだが、制服より身体の線の出る服だと戦闘力バストのサイズがよく判るので、兄としては少し悲しい気持ちになった。


「硬くならないで行きましょう。今日はお兄さんに魔法の使い方を教えるのがメインですから」


 言ってるミ・ミカの声が少し上ずっている。

 おそらく、先生役が出来るのがうれしくて仕方ないのだろう。


「それでは恵子、お願いします」

「ほいさ!」


 恵子が手をかざすと、俺の身体が燃えるように熱くなった。


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