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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第12話「よく考えたらミ・ミカは正統派美少女だったな」

――天原衛


「お茶って聞いたのに、おごりって聞いてたのに」


 恵子がブツブツと恨みがましい呟きを漏らす。

 彼女が不満を漏らすのは、川沿いの児童公園が集合場所だったからだ。

 今いるのは星野山温泉公園。

 川沿いに作られた古い児童公園で、遊具が古い代わりに敷地が広く、小学生がキャッチボールしても平気な市民の憩いの場所だ。


「だって、カフェに集まったらムツキが来れないじゃないですか」


 ベンチに座った由香が手招きしてくる。

 左手は他人に見られても怪しまれないよう分厚い猛禽用グローブですっぽりと覆われていて、そこにムツキが留まっていた。


「仕方ないだろブーブー言うなよ」


 集合場所が屋外になったのはムツキを同席させるためだ、おかしなことは何もない。


「それにお茶もお菓子もこちらで用意したのだ~」


 ムツキが羽でベンチに置かれたコンビニ袋存在をアピールする。


「紙コップのコーヒーに、コンビニスイーツ」

「お嫌いですか? なら、私が全部食べますよ」

「いや、好きだけどさあ」


 恵子は一瞬うつむいて目頭を押さえる。


「もしかして、由香って食べ物好みがお兄ちゃんと似てる人?」

「いや、由香の好物なんて知らんし」

「そういう意味で言ってるんじゃないないと思いますよ。心配していただかなくても、私は食べられればなんでもいいとは思っていませんよ」

「なら安心ね」


 ちょっと待って、なんで俺がディスられてるの?


「お兄ちゃんの面倒だから、休みの日は朝も昼も食べないって異常だから」

「天原家の料理当番を外されたと聞いたときには、さすがの私も笑っちゃいましたよ」


 恵子と、ミ・ミカが天原家にきた直後の話だが。

 二人は地球に来たばかりなので身の回りのことだけやってもらい、料理を含め家事は俺が一手に引き受けていた。

 しかし、三日目に恵子が乗り込んできて。


「お兄ちゃん、料理当番クビ」


 といって恵子とミ・ミカが交代で三人分の食事を用意するようになった。

 俺の料理はここ数年寸胴鍋で、カレー・シチュー・ハヤシを作って三日ごとにローテーションするシステムを採用していたのだが、何が問題だったのかいまだにわからない。


「そういえば、クサリクの娘が見当たらないが今日はこないのか?」

「ああ、ミ・ミカなら……」

「すいません遅くなりました!」


 堤防沿いの道を歩いていたミ・ミカが俺達を見つけて大きく手を振った。


「すぐに行きますね」


 走らなくてもいいぞと言おうとした矢先、ミ・ミカは手すりを飛び越えると、右足一本でうまくバランスを取りながら急斜面を滑り降りる。


「をいをい!」


 想像の斜め上をいくショートカットを見せられて思わずツッコミを入れる。

 ミ・ミカの身体能力なら特に危険がないことはわかっているが、どこで人が見ているかわからない場所でアクション映画みたいなことをするのはやめてほしい。


「星野山中学校2-4、ミ・ミカただいま到着しました」


 俺たちの元にたどり着いたミ・ミカがペコリと一礼する。

 ミ・ミカは恵子や由香と同じ星野山中学校の制服に身を包んでいた。

 いままではニビルから持ってきた民族衣装しか着ていなかったので見知った制服を着ている姿がとても新鮮に見える。

 プラス角隠しとしてサイズが大きめのベレー帽を目深に被っていた。

 教室では帽子を外すよう強制されることを心配していたが、宗教上の理由で髪や頭を隠さないといけないと掛け合ったら、先生が決めたデザインの帽子を使うことを条件に学校で終始帽子を被ることを許可してくれた。

 真っ赤な髪と、トパーズ色の瞳という明らかに日本人離れした容姿がプラスに作用したのかもしれない。

 他の学校の学帽として採用されていそうな紺色無地の地味なデザインの帽子だが、制服と調和が取れていてとてもかわいいコーディネイトに仕上がっている。


「遅れるとは聞いていたけど、何があったの?」

「掃除当番があっただけですよ。あとは、帽子がかわいいのでどこで買ったか教えて欲しいと言われてたのでお店の場所を教えたり」

「馴染んでるみたいで安心したわ」

「そうか、よく考えたらミ・ミカは正統派美少女だったな」


 民族衣装を着て剣を振り回しているイメージしかなかったが、こうして中学校の制服に着替えると彼女は整った容姿と、柔らかい性格を併せ持った正統派美少女だ。

 自然体で接してもクラスの人気者になれるだろう。


「ちょっとお兄ちゃん、ミ・ミカが正統派なら私はなんなのかしら?」


 恵子が背後から腕を回してヘッドロックを仕掛けてくる。

 いや、そういうところだぞ。


「さて、それじゃあ全員そろったので話を始めましょうか」

「はじめるのだ~。ちなみに本を読んだり勉強したりしたのは主にわたしだから感謝するのだぞ~」


 ムツキが自慢げに左右の羽をパタパタさせる。


「結論から言うと、侵略戦争を仕掛けても国を作るのは無理だということが判りました」

「お前達、イスラム国って知ってるか?」

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