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異世界帰りの妹は世界を変革するつもりです  作者: 戒
第一章 アヌンナキがやってきた
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第6話「楽しいニビル講座その1」

――天原衛


『ニビル』

 

 それが、ミ・ミカが生まれ育ち、恵子が誘拐された異世界の名前だ。


「異世界ニビルと地球は空間転移の魔法で行き来が出来るようになる時期があるの。おおよそ五〇〇〇年の周期で一〇〇年間くらい」

「じゃあ、今がたまたま行き来できる一〇〇年間ってことか?」

「まだ、開通から一〇年くらいしか経っていないから、向こう九〇年は大丈夫ってわけ」

「全く大丈夫だと思えないんだが、その空間転移のせいでお前は誘拐されたんだろうが」

「恵子を誘拐した件については大変申しわけないと思っています」


 ミ・ミカが神妙な顔で頭を下げる。


「気にしない、気にしない、ミ・ミカが犯人じゃないんだし。誘拐犯はティアマトって名前の、ニビルの創造神だったの」

「神様に誘拐か、本当に異世界転移だったんだな」


 一回死んで異世界で生まれ変わる転生ものはともかく、謎の意志に異世界に飛ばされるという展開は見方を変えると誘拐と変わらない。

 すぐ順応できる転移系主人公ってヤバイ奴なのかもしれない。


「で、お前がいたニビルはどんなところだったんだ?」

「一言でいうと地下世界ね」


 ニビルの一番の特徴は地下世界であること。

 地球では空にどんどん上っていけばやがて大気圏を突破して宇宙に出るが、ニビルの場合は空の上には天蓋と呼ばれる硬くて厚い岩盤が広がっているらしい。


「天蓋と地面までの距離は高い山の上なら一キロ、平野だと五キロはあるかな? 普通に暮らしてる分には気になることはないわね」

「地下世界ってことはずっと暗いのか?」

「ニビルの空を覆う天蓋は特殊な物質で出来ていて、一日のうち半分は光って世界を照らすので昼と夜が存在します」

「けっこう地球と似た環境なんだな」


 なかなか興味深い話だ、季節はあるのか?とか、一日は二四時間なのか?とか中学生の俺でも疑問点がいくらでも思いつく。


「ちなみに世界が丸いことはニビルでも常識になっているわ。知的生命体の一つに飛べる奴らがいるからね、一〇〇〇年前にウム・ダブルチュが世界一周を達成したって記録が残ってるの。ウム・ダブルチュは地球にいるフクロウに似た知的生命体なんだけど」

「フクロウだと!? 俺、今日フクロウに襲われたんだけど夢じゃなかったのか!?」


 俺は、今日の夕方帰宅しようとしたところでフクロウに襲われた件を話す。


「状況的にみて、そのフクロウはムツキですね。お兄さんを襲ったのはウム・ダブルチュという知的生命体で、地球の人に分りやすくいうと、鳥の姿をした人です」

「人!? あのフクロウが人なのか」

「人というか知的生命体ね、ニビルではある程度知性があって魔法の使える生き物はみんな知的生命体って扱いなの」

「それって、異世界モノに出てくる魔族とか、エルフとか、と似たようなもんか?」

「そうそう、そんな感じ」


 エルフやゴブリンではなく、鳥の姿をした知的生命体が出てくるあたり、恵子が誘拐された異世界はかなり変わりダネなところだったらしい。


「で、私達、お兄さんを助ける際に由香とムツキの二人と一戦交えたんです」

「フクロウと戦ったのかよ?」

「ムツキは強かったわよ。お兄ちゃんを襲ったときは傷つけないように手加減してたと思うんだけど、殺す気なら一瞬で灰にされてたでしょうね。彼女、高位の炎使いだったから」

「ムツキって奴、怪力だけでなく炎まで出せるのか!?」


 俺を襲ったムツキは炎をまとって飛び回る姿を想像してみる、すごくカッコいい絵面なのがかえってムカつく。


「炎までというか、怪力の方はオマケなんだよね。ニビルの知的生命体は、みんな肉体強化の魔法が使えるから」

「はっ、なんじゃそれ!?」


 恵子のあまりに衝撃的な発言に俺は裏声で叫んでしまった。


「異世界ものだと魔法ってあれじゃん。特別な才能を持つ人間だけがスキルを習得してそれで使えるようになるもんじゃないのか?」

「その特別な才能の正体って何よ? 魔法ってのは、科学の代わりにニビルの知的生命体が研究してきた知識と技術なの。使い方は三行で説明できるわ。」


 ①大気中に滞留している魔法のエネルギー源である魔力を細胞の中に取り込む。

 ②発現したい魔法の詳細なイメージを脳内で思い浮かべる。

 ③細胞内に取り込んだ魔力に脳内のイメージを流し込んで反応させる。


「理屈は簡単だけど、二番目の頭の中でイメージを作るって工程が実際に魔法を使うとき大変なの。例えば炎を出す魔法を使うなら頭の中に炎を詳細に思い浮かべる必要があるんだけど、すぐにイメージって作れないでしょ」

「確かに、火が何かとか言われても判らないな」


 火は科学的には、酸素と炭素の燃焼反応のことだが、酸素は何なのかとか、どのように燃えているのかをイメージしろと言われてもさっぱりわからない。


「でも、肉体強化は別」

「あっ、わかった」


 自分の身体を動かすためのイメージは、全ての人間――いや全ての動物が無意識のうちに詳細に考えている。


「じゃあ、俺もやり方を教えてもらえば」

「肉体強化魔法はすぐに使えるようになると思うわ」

「あっ、筋力強化とか無暗に使わないでくださいね。制御に失敗すると大怪我するし、死亡事故も多いので」

「そなの?」

「肉体強化魔法って、簡単に使える代わりに制御がすごく難しいんですよ。出力設定ミスると筋肉が内側から弾けます」

「うげっ!?」


 某漫画の主人公を思い出した。

 スーパーマンになるのは簡単ではないらしい。

落ち着いたところで世界観の説明始めます。

設定解説を楽しく読ませるには茶番って大事だよね

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