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暇旅人リュグス・ユース~元勇者はやることがない~  作者: コラムビ
暇人リュグスの旅は続く
5/5

テルミー・ズーは蜘蛛が苦手①

「私の名前は、テルミー・ズー。魔法使い見習いだ。不本意だが、今日からお前の弟子として行動を共にする。何卒」


 リュグスは焚火をぼおっと眺めていた。背中で少女が何かを言っているが、気にも留めない。


 リュグスは焚火を眺めるのが好きだった。パチッ。パチッと音を立てて、緩やかに燃え続ける炎を見ていると、心が安らぐ気がした。

 

 ヨナキフクロウの鳴き声が暗い森に響く。リュグスの足元を、コケシタガエルがノソノソと通り過ぎる。見上げると、雲の切れ間にカラド座が輝いている。


「ところで。そろそろ、降ろしてはくれないだろうか。とても嫌な予感がするのだが」


 テルミーと名乗る少女は、リュグスに訴えた。


 テルミーは今、吊るされていた。木の枝に縄でくくられ、胸と股間を薄い布切れが覆うだけの、淫らな恰好で、しかも、全身に樹液が塗られている。


「まさかとは思うが、私を餌にしてはいないだろうな?」

「だとしたらどうする?」

「師匠に言いつける」

「言いつける口があればいいな」


 リュグスはボソッと言った。もがくテルミーの影が揺れている。テルミーは大きく息を吸い込んだ。


「誰かーッ! 助けてくださーいッ! 拘束されてるのですッ! 少女を縛る変態がいまーすッ!」

「はぁ……」


 リュグスはため息をつき、頭をポリポリと掻いた。


「誰かーッ! 誰か誰か誰かッ!」


 リュグスは後悔した。勇者時代の旅仲間である、生意気魔法使いとの出会いまでさかのぼるわけにもいかないので、この騒がしい少女。テルミーとの出会いまで振り返る。


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