第一章。マリリン・ボス・サバント。
「こ、これは......」
「メンバーに加えてもいいんじゃないの?」
「だが、こいつのこの精神鑑定の結果じゃあ無理だろ」
「扱い方さえ間違えなければ確実に戦力になる」
「まずは引き入れてみてから考えてみても遅くはないかと」
「どうせ、使えん障害者だ。引き入れてだめだったら処分しなきゃいけないのが面倒だ」
「処分なら俺がやってやらあ。とにかく、こいつの素質は実際に加えてみないと分からねえ」
「じゃあ、決まりだな。では頼んだぞ、アイル」
ふう。今日も僕、お疲れ様!ここにきて二日目が終わろうとしている中、早々にここの生活に慣れ始めている僕は、決められた時間通り、9時に布団に入る。
「心理の先生って女の先生なんだなあ。苦労してそうだな」
ついでにいうと、IQテストの試験管の人も女であった。
「しばらく女という存在を目にしないと、男と女の違いが分からなくなってくるんだなあ」
よく考えれば不思議である。人間はなにを持って性別をパッと見で判断してるのだろう。
チンパンジーが、「ほら、髪長いでしょ、おっぱいもあるの。だから女の子」なんて言ってきたとしても、正直見分けがつかない。
同じチンパンジー同士だから見分けられるのか。そうなると、僕は人間でないから、または人間でなくなってきているから、性別の違いが分からなくなってきているのだろうか。かろうじて、声の高さで判断できるが、声の高い男とかだったら見分けがつかないのではないだろうか。
そんなこんなで、くだらないことを考えていると、僕はいつのまにか眠りについていた。