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草短編小説(笑)  作者: 世連玲
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プロローグ。少年鑑別所。

あー、えと。初投稿になります。

なんとなく、思いついたのを書いてみました。

「名前、年齢を教えて下さい。」

「山人 、16歳です。」

ここは少年鑑別所と呼ばれるところだ。

少年鑑別所というのは、非行を犯した少年の審判を決定するためにい時事的に置かれる生活の場所である。死語は厳禁、部屋から出るときは係の人の付添いが必要、湯浴みは一週間に3,4回で1日の流れもすべて決まっている。

少年鑑別所では、非行に走った少年少女がどういう人物でどういう人生を歩んできたのかを調べられる。心理検査、IQテスト、過去の経歴や経験、身体的特徴まですべてだ。

彼がなにをしたのかというと、まあ暴行である。本来なら殺人未遂事件として、未成年ではなく大人と同じ扱いで裁判を受けることになっていたのだが、優秀な弁護士と新人の検察官のおかげで暴行罪として家庭裁判所送りとなった。

「留置所だと番号で呼ばれてたと思うけど、ここでは名前で呼ぶからね」

「わかりました」

「足は揃える。姿勢も悪い」

とにかくここは厳しい。来たる審判の日に向けて、裁判官への態度や姿勢までを約四週間で身に染み込まされる。ここ少年鑑別所にいる職員を「先生」と呼ばなければならない。留置所とは、皆が想像する刑務所のようなところで、そこでは一日三食与えられるだけで、取り調べ以外にとくにやることはない。それに比べ、ここでは毎日のように検査がある上に、検査のない土日でも課題と呼ばれるものをこなさなければならない。

「今日は初日だから身体検査しようか」

学校でいう保健室のような場所に通され、そこで身長体重視力などを測る。

そのあとは図書館と呼ばれる場所へ連れて行かれ、そこで自分の部屋に持っていってもよい10冊の本を選ぶ。学習に関する本については冊数制限はないようだ。せっかくなので8冊程度持っていくことにする。どうせ、今日明日は暇である。毎日やる課題も大したことないだろう。

「鉄格子か......」

それはそうだ。部屋から少年が脱走でもされては困る。留置所でもそうだった。

「まさか、公開放尿脱糞プレイを要求されることになるとはな。留置所でも敷居くらいはあったものだ」

まあトイレでコソコソやる少年もいないとも限らないので、理屈はわかるが。鑑別所というのは基本男女で建物が違うので、先生もこっちには男しかいない。中には特殊な趣味をお持ちの先生もいらっしゃるのだろう。僕はそういうのは、ご遠慮願いたいものである。

「本棚にタオル掛けにロッカーに机......ここで頂いた物品を所定の位置におけってことか」

ここでは寝る時だけ着ていいパジャマから運動のときの体操服、普段着まで用意してある。夏ということもあり、扇風機まで置いてある。夜はテレビを見ていい時間があるらしく、モニターが設置してある。決して住み心地の悪くない場所である。だが......

「俺の目的は少年院に行くことだからなあ。あわよくば無期懲役くらいにはなりたいものだったが少年送致となった以上、それはないだろう」

そう。僕の目的は衣食住の絶対的な保証のある中でなにもしないで、じだらくに生きていくことである。では、素直に審判でそれを言えば良いのではと思うかもしれないがそうもいかない。

過去にこんな事例がある。

刑務所でただ飯食べたいがために盗みを働いた者がいた。

最初は、なんとか軽い罪にしようと弁護していた弁護士となんとか重い罪にしてやろうとしていた検察だが、その刑務所行きたい発言により、弁護士がなんとか無期懲役にしようとし、検察がなんとか刑務所には入れないよう弁護するという立場逆転の裁判となった。結果、その盗みを働いた者は、検察の意見を尊重され、罰金で済んだという。

つまり、この事例のようなことが起きる可能性があるわけだ。だから、少しでもそういうような証言をして、むさ苦しい社会に放たれたら困るのである。

僕は、社会というめんどくさい枠など考えずに、ただのんびりと生きていきたいだけなのだ。

どんだけ稼いでも有給もくれないブラックな会社についたり、友だの恋人など面倒くさい人間関係を孕んだ世界より、この狭くても、最低限の労働と衣食住の保証された世界にいたい。

「明日はIQテストと心理テストかあ」

そう考えながら布団に入る。

ああ、どうか、誰とも関わらずに無理なく生きていける環境に放り込まれますように......。



読んでくださってありがとうございます。

少年鑑別所って、夏だとクソ暑いんですよ。

部屋じゃなくて廊下にエアコンがあるもんだから、暑い上に早い消灯時間のダブルコンボで寝かせてくれないんですよ。

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