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不正の疑惑

お目通しいただき、ありがとうございます。

 ―― 選定の儀から十日 ――


 穏やかな昼過ぎ、それは突然訪れた。

 コンコンコン!

「シュタール伯爵令嬢はご在室でしょうか!財務官のセドリック・シェーンです!」

 ノックに被せてやや苛立ったような声をかけるセドリックは、そわそわとした様子で中からの返事を待つ。

「はい」

「失礼します!」

 少し間をおいて中から聞こえた年配の女性の返事をしっかりと確認しないうちに、セドリックは力強く扉を開けて部屋へと踏み込んだ。

 中には数人の女性とデザイナーとおぼしき派手な衣装の男性、所狭しと並べられたトルソーにかけられた色とりどりのドレス、ドレス、ドレス。

 カロリーナを除き、皆セドリックを見つめて色を失って硬直している。

(しまった…買い物中か…)

 気まずい空気に、セドリックは眉間のシワが深くなる。

「ひっ…」

 派手な男は小さく悲鳴をあげ、手近なトルソーの影に隠れた。

 セドリックも自身の容姿がどういうものか、自覚がある。

 大柄で肌は褐色、短い黒髪、強面の三白眼。

 セドリックの出身である南部では当たり前だが、帝都を含む北部では日焼けしたような色合いの肌は珍しい。

 南部では傭兵や遠距離運搬業者などを生業にしている者が多いせいか、肌の色が濃い=粗野で筋骨隆々なイメージが定着している。

 加えて場末の取り立て屋くらいなら一睨みで撃退できる顔面持ちとなれば、初見の相手の印象など容易に想像できる。

(何でここの侍女は…っ)

 部屋の様子を知らせるべき業務を受け持つ人間を探すが、それらしい人物は見当たらない。

「今、お嬢様はドレスをご覧になられておりまする」

 横手から、ゆっくりとばあやが現れる。

「…申し訳ありません、出直します」

(本当に侍女はついていなかったのか…)

 小さな老婦人に文句を言うわけにもいかず、セドリックは困った顔をしながら、扉の方へと向き直った。

「いえ、殿方の意見もお伺いしてみたいと思っておりましたので、お付き合いいただけますか?」

「あぁ…はぁ…ですが、私はあまり詳しくは」

 カロリーナからの思わぬ提案に、セドリックは意図を掴めずやんわりと断った。

「世の殿方の大多数はそうだと考えておりますが。」

 カロリーナは動じることなく、セドリックにドレス選びを促す。

 仕方なくセドリックはドレスの前に立ち、ドレスを見回した。

「いかがでしょう?」

「…ドレス、ですね。」

「はい」

「生地は上質そうに見受けられます」

「はい」

「形も…流行りのもののようです」

「はい」

「…以上です」

「そうですか、ありがとうございます。」

(だから詳しくないと言ったんだ…)

 何の感情も伴わないカロリーナの言葉に、セドリックはデザイナーやアシスタントからの敵意を感じとる。

 カロリーナは腕を組み、長考の構えだ。

「さて、困りましたね。どうしたものでしょう」

(…付き合ってられるか)

 はぁ、とため息をついてセドリックは面倒くさそうにカロリーナに声をかけた。

「…あの」

「はい?」

「どれも似たような形なのですから、シュタール令嬢のお好きな色のものを選ばれたら宜しいと存じますが。」

「!!?!」

 セドリックの言葉にデザイナーは声にならない声をあげて、信じられないと言うような顔でセドリックに顔を向けた。

 セドリックの言葉を受けて、カロリーナは小さく頷くとデザイナーの方へと向き直り、姿勢をただして入り口の方に向かって手を差し出した。

「だ、そうですのでどうぞお帰りください」

『え…?』

 全く表情を変えず、カロリーナがデザイナーに言った言葉にセドリックは狼狽える。

 もちろん、デザイナーたちもだ。

「え?!え…宜しいのですか??」

「えぇ。ばあや、シェーン財務官にお茶を。」

「かしこまりました」

「どうぞ、そちらに。」

 焦るセドリックをカロリーナは淡々と応接セットのソファへ案内する。

「あぁ…では失礼して」

 ゆるゆると台所のある方へとばあやが歩みを進めるその向こうで、ドレスを片付けたデザイナーが、恨めしそうにセドリックを睨んでいる。

 セドリックはデザイナーを一瞥すると、カロリーナに小さい声で問いかけた。

「本当に宜しかったのですか?」

「何がでしょうか?」

 全く表情を変えずに、カロリーナはセドリックの真向かいに腰をおろした。

 ドアが閉まる気配に「ご足労をありがとうございました」とカロリーナが声をかける。

 扉の閉まった音を確認し、セドリックは少し申し訳なさそうな声でカロリーナに返した。

「ドレスです。お手持ちが少なければ社交界の交流などに影響が出るのでは?」

「だからと言って、何でも良いわけではありません。先程、シェーン財務官は似たような形だと仰ったではないですか。」

 腑に落ちない様子のセドリックにカロリーナは言葉を続けた。

「ケルツェ令嬢のような容姿であれば問題ないでしょうが、私が他のご令嬢と似通った装いで皆様に覚えて頂くのは至難の技です。費用対効果がありません。」

「なるほど」

(だから、困りましたね…か。確かに意にそぐわない物を延々並べられてもな)

 はた、とセドリックは自分の言葉が別の意味で取れることに気がついた。

「いや、そういう意味では」

「構いません、自身の容姿は自覚しております。シェーン財務官もそうではありませんか?」

「…あぁ、まぁ」

 セドリックは慌てて訂正したが、カロリーナは控えめに笑ってそれ以上の言葉を制した。

「それで、私にご用とは」

「あ、はい。警備部員に対しての賄賂です」

 セドリックは居住まいをただし、カロリーナを真っ直ぐに見据えた。

「賄賂…私が?」

 セドリックの圧に臆した様子もなく、カロリーナは少し不思議そうにしながらも、穏やかに聞き返す。

「はい、皇室警備に対して過分な報酬を出されていますね?」

「報酬?記憶にありませんが」

 セドリックはカロリーナの目線に合わせるように、前のめりに少し顔を近づけた。

 大抵の人間なら出来る限りのけぞる所だが、カロリーナは顎に手をおいて少し考えるだけで、動じる様子はない。

(存外、強心臓だな…)

「ここ七日、こちらで騎士と昼食を共にされたと聞いております。」

「あぁ、図書館でお声掛けいただき資料を部屋に運んでいただきましたので、お礼にお誘いしましたが…何か問題が?」

 待ってましたとばかりに、セドリックはさらに顔をしかめて一段低い声でたたみかける。

「あります!!シュタール令嬢は現在、皇太子妃候補として城内に滞在されています。未来の皇后の可能性があるとすれば、優遇されたいと考え、行動するものもありましょう!それに皇太子妃候補の食事は宮廷料理人が手掛けているはず、騎士や我々官僚などでも食すことは叶わない料理です。資料運びの礼としても過分であるかと。」

 セドリックの圧に臆する事もなく、カロリーナは顎に添えていた手をはずし、一度視線をはずすと少し微笑むような柔らかい表情をセドリックに向けた。

「それはどうでしょう?私が圧倒的優位であるなら可能性もありましょうが、現状そうではないと認識しております。今、将来の優遇を私に賭けるのは早計かと存じます。」

「それは…」

(確かに。)

 セドリック達官僚の間でもフローディテア有利が囁かれている中、カロリーナに媚びを売るのは早計だろうとはセドリックも考えてはいる。

 だが、カロリーナが票集めに走っている可能性は十分ありうる。

(…そんなことをしそうにないが。)

 セドリックから言葉がないと察したらしいカロリーナは、淡々と続ける。

「それに食事についてですが、侍女がまだおりませんので手配の手間を考え、食材のみ毎朝こちらに届けていただいております。作っているのはばあやですので、フルコースなどはとてもお出しできません。サンドイッチやシチューなどの家庭料理です。シェーン財務官がお使いになる院内食堂と、そう変わらないと思いますよ。」

 カロリーナが繊細な絵付けの湯呑みを口に運んだ。

(いつの間に!?)

 セドリックが視線をカロリーナとの間にあるテーブルに移すと、いつの間にか湯呑みとお茶請けのカステラが並べられていた。

(これは…まさか)

 セドリックの視線はカステラに付けられた焼き印に釘付けになっている。

「出島堂のカステラ…!」

 自身の呟きにカロリーナが「あら」と反応した事を察知すると、セドリックは緩みかかった表情筋を引き締めた。

「甘いものはお嫌いでしたか?」

 カロリーナの問いかけにセドリックは反射的にカステラの皿を自分の方に素早く引き寄せる。

「いや、頂きます…じゃなくて!警備の騎士にコンフェイト、渡しましたね?」

「コン…あぁコンペイトウ。はい、差し上げました。茶筒程度の瓶に一瓶」

「あんな高価なものを渡しておいて、賄賂ではないと?」

 しん、と変な間が生まれた。

 どちらも真剣な表情を崩さないが、カロリーナからは歯に何かが詰まったような違和感が感じ取れる。

 少し間をおいて、カロリーナが口を開いた。

「…高価なもの、なんですか?」

「は?」

 思ってもいなかったカロリーナの言葉に、セドリックの口からだいぶガラの悪い返事がはみ出る。

「頂き物なので存じませんでした。」

「頂き物?」

「えぇ」

 カロリーナはおもむろに立ち上がると、セドリックの疑いの眼差しを受けたまま台所の方へと繋がる短い通路で少し上を見上げる。

「いつ頃でしたか、おばあ様の西方外遊の際、お土産に頂いた物で…んっ」

 セドリックからはよく見えないが、カロリーナはどうやら棚になっているらしい場所から何かを引き出すような動きをしている。

「駄菓子だからと、このような大瓶に二つも頂いたので、てっきり廉価な物と思っておりました。」

「!!?」

 セドリックに見えるような場所までやってきたカロリーナの腕には、彼女の頭の倍ほどはある大きな瓶が抱えられていた。

 まだ三分の一程しか減っていない色鮮やかなコンペイトウはカロリーナが歩く度にカラカラと軽やかな音を立てる。

 あまりの量に言葉も出ないセドリックの方へと重たそうに歩きながら、カロリーナは続ける。

「カステラも先日シュタール領に出島堂の直営店が開店したお祝いに頂いた物ですし、お茶も懇意にしていただいているベルク伯から時期に贈られてくるもので…困りましたね、価格は全く分からないのです。」

 どんっ、と鈍い音を立てて瓶をセドリックの前に置くと、カロリーナは小さく息をついて、少し困った顔をしてコンペイトウの瓶を撫でる。

「お土産や贈り物ではお値段をお伺いするわけにはまいりませんし、かといって腐らせてしまうのも…」

 どうしましょう、と言わんばかりにセドリックを見つめて首をかしげるカロリーナ。

「あぁ…いや、警備部員がこんな高価なものを駄菓子程度に扱うほど高価な報酬を受けていたのかと思っていたのですが、まさか本当に駄菓子程度に渡していたとは露にも思わず…はぁ」

(そら、それだけありゃ駄菓子と思うわな)

 セドリックは疲れた表情でコンペイトウの入っている瓶をしげしげと見つめる。

「いえ、知らないこととはいえ、気軽に差し上げてしまった私にも落ち度がございましょう。以後この様なことがないよう、どなたかに差し上げるのは控えますね。」

 実際、カロリーナ自体に非はない。

 恐らく伯爵令嬢ともなれば、国内の流通品であっても家門の品位を保つため、相応の高級品を手元に揃えているであろうことはセドリックも理解している。

 ただ、コンペイトウは国交のない国の砂糖菓子で輸入が困難なため、出すところに出せば茶筒程度の瓶一つで帝都で四人家族が一冬を余裕で過ごせる額になる。

(まぁ砂糖と思えば、上級貴族には茶筒程度の一瓶は経費のうちか)

 砂糖も十分高価ではあるが、皇太子妃候補としての立場を考えれば許容範囲だ。

「本日シェーン財務官にお会いしなければ何も知らないまま過ごすところでした。お訪ね下さり、ありがとうございました。」

 カロリーナからの丁寧な言葉に、セドリックは居心地が悪そうに頭をかいた。

「あぁ、いえ…そうですね、贈答品や舶来品の価格をご存知ないのは仕方のないことですし、傷めてしまうのはお心苦しいかと存じます。今後はお部屋の中で消費して頂ければと…」

「では、今回は不問として頂ける、ということでしょうか?」

 カロリーナの言葉に、セドリックは眉間にシワを寄せながら、何度か小さく頷いた。

「ありがとうございます。」

 カロリーナは控えめに微笑むと「どうぞ、召し上がってください」と、セドリックが大きな両手で可愛らしく持っているカステラの皿を手で差した。

「あ…いや」

「ばあや」

「はい」

 セドリックの歯切れの悪い返答に被せたカロリーナの声に応えて、ばあやがテーブルに大きめの皿を静かにおいた。

 皿には様々なカステラが二切れずつ乗っている。

 わなわなと体を震わせてカステラをにらむセドリックに、にこりと微笑んでカロリーナは少し大きな声で伝えた。

「どうぞ遠慮なく」

 貴方が甘いものが大層お好きなことは存じておりますよ、と言わんばかりに。

「…っ…」

 帝国の風潮として、甘いものは女子供のもの、男が好むもなではない、という傾向が強い。

 職人が食べるのであれば、まぁ…と少し冷たい目で見られるくらいで済むが、成人した男が食べようものなら変人扱いされることもある。

 ましてセドリックくらいの魁偉の男となると、まるで世の末が訪れたような空気に包まれる。

「ファルマンお兄様とお父様は競うように召し上がるのですが、私はあまり得意ではなくて」

「あ…ぁ、そ、そうですか」

 セドリックは今日イチ険しいぎこちない笑顔で、カロリーナの身内話に相づちをうつ。

「えぇ、先日など帝都に新しくできたパティスリーの新作ムースが食べたいがために私への手土産と偽って大量に買って帰って」

「お嬢様」

 カロリーナの世話話をばあやが淡、と遮った。

「あら、私としたことが。」

 湯呑みを取りかけた手を止め、カロリーナはセドリックに向き直る。

「実は私、ちょうど財務部へ問い合わせをしようと思っておりまして。」

「は…あぁ、どのような内容でしょうか?」

 セドリックはしまった、と思ったが出てしまった言葉は戻らない。

「フォルト地区の港湾及び街道の大規模改修は、本年度に予定されておりますでしょうか?」

「え…?」

(え?なんで公共事業?)

 カロリーナからの想定外の質問に、セドリックはしばらく思考が止まる。

「あ…えぇと…予定はないはず、ですが」

「そう、ですか…」

 一瞬、目を丸くしてから戸惑う様子のカロリーナにつられ、セドリックはまた余計な質問を重ねた。

「あの、何故、大規模改修があると思われたのですか?」

「資料の限りではこちら30年程、改修、拡張を含めた工事が実施された記録がありませんでしたので、耐用年数を考えると流石にあってもおかしくないと思ったのですが」

(待て待て待て。なんか30年工事無しとかいうパワーワード入ってたよな、今)

 街道は平坦だったり、想定よりも交通が少なかったり災害に見舞われていなかったりなどの理由で耐用年数を超えても、十分にその役目を果たせる場合がある。

 だが、港となるとそうはいかない。

 よしんば災害に見舞われてないてしても、塩害や老朽化で使用が危ぶまれる設備が大半を占めるだろう。

(まぁ、帳簿なんてものに慣れていないお嬢様が見た、と言っても項目が違えば見落としもあるだろうしな…)

「私で宜しければ、帳簿を確認いたしますが」

「まぁ、よろしいのですか?」

「えぇ、まぁ…本日の非礼のお詫びとでも考えていただければ」

 セドリックの言葉にカロリーナは極控えめな困り顔の微笑みを見せる。

「申し訳ありません。陛下(所有者)に直接お伺いできれば良かったのですが…規則上、私は面会を取り付けられませんので、とても助かります。」

(そうだった…皇太子妃候補は原則、召喚のない限り皇帝陛下とは面会できないんだったな…)

 当然といえば当然だが、公平性を保つため審査を受ける側が審査をする側との接触は原則禁止されている。

 国の未来を左右するとなれば尚更だ。

 だが、課題自体に問題や不審点があるとなれば、選定自体の信頼に関わる。

 万が一にも選定日に候補者から不審点を暴露されれば、皇室ひいては国の存亡にも関わりかねない。

 そして質問の度に相手を変えられては、"此度の選定に不審あり"と、よくない噂が簡単に広まる。

 良くない噂は尾が付きヒレが付き…やがてセドリックの担当する徴税業務に支障が出る。

(これ以上、徴税逃れの屁理屈が増えるよりはマシだな)

 セドリックは眉間に深いシワをぐっ、と寄せて少し考えてからカロリーナに視線を向けた。

「もしまたご不明な点などお問い合わせになる際は、私をご指名ください。必要とあらば面会の手配もいたしますので」

「ありがとうございます。」

「では業務もございますので失礼いたします。」

 そう言ってセドリックはお茶を飲み干し、立ち上がった。

「近日中にご連絡いたしますのでお待ちください。」

「はい、お待ちしております。」

 カロリーナは小さく頷くと、見送りのために立ち上がると同時に呟いた。

「ばあや、シェーン財務官がお帰りになられるわ。」

「かしこまりました」

「うぉっ?!」

 いつの間にか横にいたばあやは、驚くセドリックを気にすることもなく大皿のカステラを手際よく紙で包み、グラデーションの美しい染の風呂敷でくるんでセドリックに差し出した。

「お部屋の中での消費を、とお願いしたはずですが…?」

「ですが、出島堂を有するかの国では出された茶菓子を残して帰るのはマナー違反なのだとか」

 不機嫌そうな顔を作り、セドリックは形ばかりの抗議をしたが、カロリーナは上品な笑顔でマナーを振りかざした。

「…では頂戴いたします…」

 セドリックはくっ、と小さく呻いて顔を赤くしながら、ばあやから風呂敷包みを受け取り、力強く扉を開け放つと、駆け足に近い早足で部屋から出ていった。

「彼は仕事が早そうね。ばあやの方はどう?」

 開け放たれた扉からセドリックの姿を眺めながら、カロリーナは半歩後ろに控えるばあやに声をかける。

「はい、難儀しておりますが…数日中には」

「そう…流石に秘書官ともなるとその程度は何ともないのね。いいわ、これを使ってちょうだい。」

 ばあやの短い報告を聞くと、カロリーナは執務用の机まで戻り、引き出しから封書を取り出す。

「は…お預かりいたします」

 カロリーナの動きに合わせ、扉を閉め、机の横でばあやは封書を受け取った。

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