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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
97/300

97「横切る」【挿絵あり】


福祉施設に勤める女性から聞いた話。


夜、自宅で寝ていると、自分の布団の上を

横切っていく何かの気配を感じた。




「重さも感じたので、

 夢ではないと思うんですが」




それはネズミだった。

それも、ハムスターなどの愛玩用ではなく、

子猫ほどもある大きさのドブネズミ。

それが3、4匹ほど彼女のお腹の上を通り過ぎていく。


彼女が息を飲んで驚く中、それらは次々と布団の上を

通り、そしてその先のTV画面へと消えていった。




「真っ暗な画面に吸い込まれるように

 消えていって―――

 当然TVは付けてないんで、後には黒い画面が

 残っているだけでした」




次の日、布団に入るとまた気配がする。

今度は毛並みが黒いウサギが3、4匹、また布団の上を

横切ってTV画面の中へ消えていった。




「次の日は小さな馬がまた3、4匹現れて……

 で、たまらなくなって近くのお寺に相談に

 行ったんです」




そこの住職は事情を聞くと、すぐに自宅に来てくれた。

そして部屋をぐるりと見渡すと、ある物を指差した。




「これはいけませんな」




鏡があった。

小さな立て掛け式の鏡だったが、それがちょうどTVと

向かい合わせに置かれていたのだという。

それは電源の付けていないTVの画面に鈍い光を

反射させていた。




「鏡をその場所から移動させたら、その日から

 何も現れなくなりました」




あのまま鏡を置いていたら、最終的には何が

現れたんでしょうね?

そう言って彼女はため息をついた。





挿絵(By みてみん)

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