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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
85/300

85「ジョギング」【挿絵あり】


去年結婚したばかりの女性から聞いた話。


彼女はあるスポーツジムで今の夫と知り合い、

結婚したという。

いわば夫婦揃って体育会系であり、夜のジョギングを

日課としていた。




「だいたい、2キロくらいですかね。

 私も彼も、体動かしていないと調子が出なくて」




その日も、いつものコースを2人で走っていた。

マンションから大通りへ抜け、中間地点に小学校が

あった。




「夜の学校っていうと、外から見てるだけでも

 あまり気持ちのいいものじゃないですけど、

 2人で走っていたので」




1人で走るより怖くはない。

いつものように、校舎から校庭側へ回るようにして

通り過ぎようとした、その時




「見ちゃったんです」




白い和服姿の、同性から見ても美人と思える女性が

立っていた。

うつむいて、その長い前髪の向こうからこちらを

見ているような―――

校庭と道路を隔てる鉄柵の内側、その隙間から

手を伸ばせば届きそうなほどの位置に。




「あ、あなた、あれ」




走りながら顔をそちらへ向けて、夫に伝えようと

するが、




「ああ、わかっている」




と反応が返ってきた。


どうやら夫も気付いているようだ―――

それを聞くと、何やら安心感がわいて、また

遠ざかると共に冷静さを取り戻していった。


家に帰り、スポーツドリンクを飲んで落ち着くと、

あれは一体何なのだろう、という話に当然なった。

しかし―――




「白鳥? それともアヒルかな、

 何て言うんですよ」




夫の説明では、そこに飼育小屋があり、金網の中の

それが首を伸ばして、こちらを見ていたそうである。

妻がそれに気付いて、自分に声を掛けてきたのだと

思っていたらしい。


翌日、夫について恐る恐るそのコースを通ると、

なるほど確かに飼育小屋があり、白鳥が金網の中で

寝ているのが見えた。




「ツルが化けるのならともかく、

 白鳥が化けるのなんてアリですか?」




そう言って、彼女は首を傾げていた。





挿絵(By みてみん)


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