表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
77/300

77「窓」【挿絵あり】


今年社会人になったばかりの男性から聞いた話。


彼は初めての出張で、ある地方都市の

ビジネスホテルに泊まった。

本当は日帰りだったはずなのだが、仕事が

長引いてしまい、翌朝に帰る事となった。




「翌日は土曜日でしたし、特に早起きする必要も

 なかったんですが」




それでも、窓から差し込む朝日と、そのサッシに

とまって鳴く何匹かのスズメの声に起こされ、

彼はホテルのフロントに向かった。

まだ9時にもなっていなかったという。




「あんな階まで、スズメって来るんですね。

 窓のところにいっぱいとまってましたよ」




そう話すと、フロントの係りが妙な顔をした。

“窓って、客室の窓の事でしょうか?”

質問の意味がわからず、

“ええ、まあ”と生返事をすると、

チェックアウトした。


ホテルから出た後、何気なく彼は自分の泊まっていた

部屋の辺りを見上げた。




「え? って

 声に出てしまいました」




そこの窓、というよりホテルの上半分が、

何かの改装か塗装でもしているのか、

足場が組まれて、防護シートでおおわれていた。

ホテルに入ったのは夜半だったし、いちいち全体を

確認などせず、全く気付かなかったという。




「でも、僕が見たのは本当に普通の、透明な窓と

 太陽とスズメたちだったんですけどね……」




幽霊よりはマシですけど、と彼は頭をかいた。





挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ