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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
54/300

54「地元」【挿絵あり】


ある技術者の方から聞いた話。


彼の仕事は、各地に設置された降水量を測る

機器のメンテンスで、それこそ関東は様々な場所を

往来していたそうだ。




「北海道や九州あたりはわからない。

 多分全国規模のモノだから、そっちには

 そっちの担当がいるんだと思う」




ある時、湖、というほどの広さではないが、

大きな池の中にある小島、そこにある機器の

メンテナンスに向かう事があった。


当然、船か何か出してもらわなければ、

そこへは行けない。

多少風は強かったものの、距離にして

50メートルほど。

さっそく地元の人に、船を出してもらえないかと

交渉したのだが―――




「全員、断られた。

 何か“今日はダメな日なんだ”

 とか何とか言ってた気がする」




それでも予定というものがある。

その中の一人を説得して船を出したが―――

結果は散々だったという。




「まずエンジンストップ。

 船底から謎の浸水。

 それでもエンジンは時々動いたんだが、

 全然目的の小島に近付けなかった」




仕方なく引き返して職場の先輩に事情を電話で話すと、

“地元の人間の言う事は聞け”という答えが返ってきた。

翌日は快晴となり、何の問題もなくメンテナンスは

終了したという。




「ダメだ、っていう事には、それなりの理由が

 あるんだろうけどね」




結局、それがどんな理由かは聞けず、

またメンテナンスはその一回きりで他の担当に

なってしまったため、謎のままで終わってしまった。

それからは、彼は地元の人間の言う事に

耳を傾けるようにしたという。





挿絵(By みてみん)

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