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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
37/300

37「鶏肉」【挿絵あり】


40代のサラリーマンから聞いた話。


彼がいつも通り通勤のため道を歩いていると、

カラスが小さな野鳥を襲っている場面に

出くわした。




「コラッ!」




思わず声を上げて、カバンを振り回してその場へ

乱入し、2匹とも別々の方向へ逃げた。


野鳥を助ける事が出来たものの、考えてみれば

カラスは食事をしようとしていただけなのに……

と、気の毒な事をしたと思い直した。




「それで、弁当を開けて、ちょうど鶏肉と

 ミートボールが入っていたので、それを」




その場に置いて立ち去ったという。

少し離れてから振り返ると、先ほどと同じか

どうかはわからないがカラスが1匹、それを

ついばんでいるのが見えた。


仕事が終わってその日の帰り。

そういえばここで今朝……と思い出しながら

歩いていると、“オイ”と声をかけられた。


見上げると、塀の上に腰かけるように、

6、7才くらいの少年が座っていた。




「今回は許してやる」




そう言うと、スーパーのレジ袋を投げてよこしてきた。

足元に落ちたそれは、何かがギッシリと詰まっている

ようだった。

何だこれは? と思って塀の上に視線を戻すと、

そこには1匹のカラスがいて、そのまま羽ばたいて

闇夜へと消えた。




「その子、普通の洋服を着ていたんですけどね」




レジ袋の中には、クルミが10個ほど入っていた。

少し肌寒くなってきた、秋口の頃だったという。





挿絵(By みてみん)

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