表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百怪  作者: アンミン
怪異
297/300

97「行事」

・現代怪談話・伝聞


「まあ、古い土地ですから。

 いろいろあると思います」


とある資産家の、鎌倉にある別荘を任されている

初老の男性から聞いた話。


そこは建物も広く―――

また歴史もかなりあるようで、古い日本建築の

様式が特徴だった。


「まあ、私どもは使用人ですので。

 掃除や身の回りの世話などが終われば、

 離れで寝泊りします」


資産家がその別荘を使うのは、夏や冬など

何か季節ごとのお休みや、もしくは正月など……

合計しても年に一ヶ月あるかないかだという。


「ただ、決まりというか―――

 年に一度だけ、ご当主の方が来られる日が

 ございました」


その日……記憶によれば一月の終わりか二月の

始め頃。

当主一人だけが別荘に来るのだという。


「その時は親戚も知人も誰もおりません。

 ただ、ご当主様一人だけが別荘に入るのです。

 その間は私ども使用人も入る事は許されません

 でしたね」


まあ一人になりたい時もあるのだろう、と

何気なくある時、その事について当主に聞く

機会があった。


「う~ん。そんなものじゃないけどねえ」


当主の話によると、一年に一度だけ自分一人が

来なければならない日があるのだという。


雑談と思い、彼に話を合わせていると、


「会わなけきゃいけなくてね、一年に一度。

 それさえなければここは文句無しなんだけど

 さぁ」


会うとは何なのだろうか。

ただ聞き返しもせず、当主の言う事を空返事で

聞き続けると、


「鬼が出る、と言っておりました。


 何でも決められた日に会わなければいけない

 約束をしたらしく……

 自分にとっては職場でしたし、そんなものが

 出るなんて見た事も聞いた事も無かったので

 驚きましたよ」


その鬼の特徴とは、

・何もしないし実害も無い。

・何か良い事がある年は背中を向けて、

「おめでとう」と悔しそうにつぶやく。

・何か悪い事がある年は前を向いて、

喜色満面で現れる。


というものらしい。


「まあご当主様の作り話かも知れません。

 もうすでに鬼籍きせきに入られましたし、

 確認も出来ませんので……」


じゃあもうそういう事は行われていないの

ですか、と聞くと、


「はあ、後を継いだ現当主様がしておられる

 ようですなあ」


そう言って品の良い微笑みを見せた。


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330662111746914


【かみつかれた】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073692218686


【ロートルの妖怪同伴世渡り記】【毎日更新中!】

https://kakuyomu.jp/works/16817330666162544958

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ