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百怪  作者: アンミン
怪異
294/300

94「身長」

・体の大きさが示すものについて


お寺で修行している知り合いの話。


有名な都市伝説・怪談で『八尺様はっしゃくさま』というものが

ある。


八尺=二メートル四十センチもある女性が、

『ぽぽぽ』と無機質な声を発し、これに

魅入られると連れて行かれるので逃げなければ

ならない―――という存在。


「本来、日本では体が大きいという事は良い

 イメージなはずなんだがなあ」


知り合いが同僚と一緒に彼らの師匠も交えて

話し合っていると、師からはそんな意見が

出てきた。


いわく、何か偉大な事を成し遂げた人物は、

その体も規格外で立派なものでなければ

ならない、という観念があり―――


「ヤマトタケルは身長が2メートル近くあったと

 いうし、『吾妻鏡あずまかがみ』に出てくる女武将、

 板額御前はんがくごぜんは、一説には188センチあったと

 いわれている」


女性でもそういう観念は共通で……

だから長身かつ妖怪化け物のような扱いが

今ひとつ理解出来ない、というのが師匠の

見解のようだ。


「ただ」


と彼らの師は前置きし、


「事態がひっくり返ったとしたら、

 『そうなる』事はある」


「どういう事ですか?」


知り合いが聞き返すと、


「英雄と称えられていた者が、裏切りや失脚で

 それまで通り称える事が許されなくなった

 時―――


 鬼だ化け物だという『モノ』に変えられて、

 伝わる事はあるだろう」


つまり住人や地元のヒーローだった者が、

戦で敗北したり、もしくは権力者に逆らって

討伐されたりと……

事情が変わって大っぴらに称える事が出来なく

なってしまう場合があるのでは、という。


「無機質な声を発するというが、それは

 声が出せない事を揶揄やゆしていたり、

 引いては真実が伝えられないようにした、

 という事を暗に示しているのではないかな」


だから返って身長もより大きくし、

『そういう存在にしたいのであれば』、と―――

徹底的に『悪いモノ』として残してやる、

そういう反発もあったのだろうと。


「盗賊を退治したら神様扱いとか、

 その盗賊は『鬼』として扱われるとか、

 昔話はそういうところがあるからなあ」


師匠のその言葉に、弟子たちはうなずいた。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

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【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

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