90「眷属」
・『出てくる』ペットについて
お寺で修行している知り合いの話。
昔飼っていたペットが死後、夢に出てきたり、
何かの怪異に出会った時に助けてくれる、
という話はチラホラ聞くが、
「死んでからの方が、意思疎通が出来るもの
なのだろうか」
人間と動物の言葉が通じないのは当然だが、
その制限は死後も有効なのだろうか―――
むしろ死んだ後の方がそういう縛りは無くなるの
ではないか、という意味で知人が同僚たちにそう
話を振ったという。
確かに、言語能力は声を震わせる、脳の言語処理
能力があるから可能とも言えるわけで……
それ以外の感覚で意思疎通出来るのなら、と
肯定的な感じで全員が話し合っていたが、
「いやしょせんは畜生だからなあ」
と、SNSで発言すれば炎上しそうなセリフと
共に、彼らの師が入ってきた。
闇語り33話「身代わり」でも出てきた
話だが……
基本小動物というのは魂が小さいというか
純粋で、影響を受けやすいという事は
あるらしいのだが、
「そもそも、畜生は畜生で死んだらすぐに
輪廻に組み込まれるんだ。
だからあの世から戻って来たりするヒマなんて
あり得ない。
よっぽど恨みを持って死んだとかなら話は
別なんだが―――」
話を聞いて全員が微妙な表情になっていると、
師は続けて、
「まあ―――例外はあるっちゃあるけどよ」
「それはどのような?」
知人が聞き返すと、
「あの世に留まるような理由が出来た
場合だな。
よくペットが飼い主を助けたりとかする
話ならあるだろ?
それで徳を積んでとか……
あとは見込まれて、どこぞの神様の眷属に
なったりする場合だな。
まあこの場合は仏教の教えから外れるが」
だから守護霊的な感じで死後現れ、飼い主を
助けたりするようなペットは、かなり特別な
ケースなのだという。
弟子たちが感心してうなずいていると、
「それとあとは―――
『この飼い主、自分がいなきゃダメだな』
って思われた場合だ。
あまりいい事じゃねえから、お前らなんかは
特に気をつけろよ」
師の言葉に、誰からともなく苦笑した。
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