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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
29/300

29「丸太」【挿絵あり(やとりるdeカムロらしき物体様からの頂き物です)】


聞いた話。


元々木こりをしていた人で、かなり年配だが、

今でも時折り山に入るという方から、

こんな話を聞いた。




彼の父親もまた木こりをしていて、よく連れられて

山に入っていった。

仕事の手伝いもあるが、まだ小さい頃は出来る事も

限られていて、ほとんどは遊んでいた。




気に入っていた遊びは木登りで、高い木を

見つけては登り、そこから見える景色に

見入っていたという。




そのうち、ただ登るだけではなくなるべく高い木を

選ぶようになり、日々もっと高い木はないかと

探し回っていたそうだ。




ある日の事、見た事も無い高い木を見つけた

彼は、さっそくチャレンジする事に。

幹に手をかけ、するすると登っていく。




なんだか表面がザラザラしていて、それが滑り止め

みたいになって、今までのどの木よりも登るのが

容易だった。




突然、木が倒れ始めた。

ただ自然に倒れていくのではなく、何かゆっくりと

その幹を地面に押しつけようとしているかのように。

抱きつくようにしがみついていた幹がブルッと震え、

倒れたそれは、木々の間をぬうようにして前進していく。




慌てて手を離し、その木が奥へ奥へ消えていくのを

ただ見送った。




「蛇、とも思ったんだけど。

 あそこまでいくと龍だな、ありゃ」




父親のところへ戻り、その事を話すと顔色を変えて

すぐに下山し、それから数日は山仕事を休んだという。




挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[一言]  何だかまんが日本昔ばなしに登場してもおかしくないようなお話ですね。  因みに子供の時、大木を見ると今にも動くのではないかと錯覚したことがあります。
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