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百怪  作者: アンミン
怪異
285/300

85「コスプレ」

・現代怪談話・伝聞


とあるコスプレ店の店員の話。


「と言ってもコスプレをするんじゃなく、

 コスプレ衣装を売買したりレンタルしたりする

 方のお店だけど」


そこで働く彼女は、仕事がてら店長から洋裁の

技術を学んでいた。


店長はもともと洋服店を営んでおり、自分で

ある程度の服なら作る事が出来た。

バブル崩壊後、その影響を受け店をたたむ事も

考えたが、コスプレブームに乗っかって何とか

持ち直したという。


「技術的に何でも出来る人でしたから。


 商売に関しても―――

 『将来的に独立するつもりなら』と、

 イロハを叩きこまれましたね」


ある時、一つ仕事を任され……

素材の布を前に彼女は悩み、


「布をどのようにやったら効率よく面積を

 使えるか、考えたり計算していたら……

 『そんな事考えるより先に切れ』

 『悩む時間の方がもったいない』って

 言われました」


実際、作る際は原価などほとんどかからず、

コストは人件費と時間が全てと言っても

過言ではないらしい。


「とにかく何でもいいから作れ、と。

 やってみないと技術は身につかない、

 ついてこないからって。


 ある意味合理的に徹した人でしたので、

 指導は良かったと思います」


よく職人にありがちな精神論や根性論は

一切言わず―――

まあそういう考えでなければ、コスプレ衣装店

なんてやらなかったんでしょうけど、と彼女は

付け加えた。


「ただ……

 一つだけ気になる事を」


コスプレなので、中にはオーダーメイドの

依頼も当然来る。

商売だから受ける事は受けるのだが、


「あまり客の力量とかけ離れたものは

 作るものじゃない、と注意を受けた

 事があります」


例えば、最近は歴史ものの創作物も多く―――

昔の猛将やお姫様、偉人など……

あまりに一般から離れている、違い過ぎるものは

コスプレをする人間の『力』も問われる場合が

あるとの事。


「何というか―――

 『食われる』って言うんですね。


 実在するしないにも関わらず、相当な

 実力者、強者は……

 姿かたちを真似るにしても、それ相応の

 力量が求められる。


 それだけの実力が無ければ『食われる』事が

 あるそうです」


一時、いろいろとオーダーメイドを任されていた

事もあり、大丈夫なんでしょうかと聞くと、


「それは作る側も力量が求められるから、

 未熟だった頃のお前が作ったものなら

 大丈夫だと言われました。


 もうそろそろ、『その域』に達しそうなので

 注意してきたんだそうです」


もういつ独立しても大丈夫だから、と―――

そう言って彼女は胸を張った。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

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