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百怪  作者: アンミン
怪異
280/300

80「聞く側」

・聞き方のとらえるものについて


お寺で修行している知り合いの話。


「見えないけど、声だけは聞こえるって

 怪談がありますよね」


彼はふとそんな話を同僚たちに振ってみた。


姿は見えないが、泣き声や叫び声が聞こえると

いうのは怖い話の定番でもあるし、心霊系の

動画でもその手のものは多い。


「でも基本的に霊と生きている人間は違う

 存在ですよね?

 それなのに声だけは感じるというのは―――」


同じく生きているにしろ、動物だって声は違うし

意思疎通は出来ない。

そんな事を話していると師が入ってきて、


「何の話だ?」


そこで彼らは、師匠にそれまでの話を説明した。

師はそれを聞くとう~ん、とうなり、


「声だって聞こえるようでいて、普通に

 聞き逃したり聞こえていなかったり

 するからなあ」


物理的には空気の振動なのだろうが、結局は

それを受け取る側……

脳や感覚の問題ではないだろうか、という。


「だから『霊とかそんなものはいない』と

 認識しているのなら、何を言っても聞こえない

 だろうし―――

 また聞きようによっちゃ違った聞こえ方も

 するんじゃねえか?」


そこで師は自身の経験を語り始めた。


ある時、遺品にいていた霊と問答する事が

あり、一通り希望を聞き入れ―――

これで一件落着と思われたその時、


『どうしてあなたは、そのような男言葉で

 話すのでしょうか』


と質問され、『いや俺は男だが?』と返すと、

非常に驚かれたという。


「どうもあちらさんには、俺の声が女に

 聞こえていたらしい」


「そんな事ってあるんでしょうか」


同僚の一人が聞き返すと、


「以前、変性へんじょう男子、変性へんじょう女子について話した事が

 あるだろう」


体は男でも魂の性別が逆であるとの考え方で、

仏教にも転女成仏てんにょじょうぶつ女人変成にょにんへんじょうという教えがある。

(■闇語り91話「精神」参照)


恐らくはそれに関わる事ではないか、と師は

続けたが、


「しかし、俺の中身が女ってのは……

 どうなんだろうなぁ、そりゃ」


それを聞いた弟子たちは苦笑する者、

笑いをこらえる者に二分されたが、


「じゃあみんな、行くわよー♪」


師匠が女言葉を発した途端、室内は大爆笑に

包まれた。


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

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【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

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