78「回数」
・繰り返す事の制限について
お寺で修行している知り合いの話。
昔の怪談などで、一度怪異から逃れたと思い
安心したら、そこで再び―――
という話がある。
有名なのは『のっぺらぼう』だろう。
顔の無い人間を見てしまい、そこから逃げ出して
家に戻ったら……
奥さんもまたのっぺらぼうだった、というものだ。
「お約束というか、何か決まりでもあるんで
しょうか」
知り合いが同僚たちに話を振ると、
「オチとしては良い」
「演出としてよく考えられている」
という意見が交わされたが、
「妖怪ではないが」
と、そこで彼らの師匠が入って来た。
「『そういうもの』に出会った時―――
3回呼ばれるまで返事をしてはいけない、
という話がある」
そう、師が話し始めたところによると、
狐が人を化かす場合、人を呼ぶ事は一回しか
出来ないらしい。
「だから続けて2回呼ばれたら、それは狐じゃ
ない、という事になる」
「なるほど。
でもそれじゃ、『3回呼ばれるまで』だと
1回多くないですか?」
同僚の一人が師匠に聞き返すと、
「亡くなった人間……
亡霊・幽霊の類は2回まで呼べるんだと。
だから怪異に会った時、呼ばれても3回目までは
答えるな、という事になっている」
そこで先ほどののっぺらぼうの話に戻り―――
『二度の怪』で終わっているのは、
妖怪もそれ以上は無いという設定になっている
のでは、との事。
「呼ぶのではなく、脅かす形ではあるがな。
それにたいてい二度目で相手は死んじまって
いる事が多い」
ま、三回も逃げられたら諦めもつくかもな、
という師匠の言葉に全員が苦笑した。
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