77「湖面」
・現代怪談話・伝聞
ある漁師に聞いた話。
彼は川や湖で投網を使って魚を獲る事を
生業としており、その日もとある湖で漁を
していた。
「鯉がよく獲れるんだが、あまり売り物には
ならないんだよなあ」
ちなみに、日本の固有種である鯉は琵琶湖にしか
いないらしく、他は全て外来種であるらしい。
その日も鯉ばかりが投網に入って、不満を
漏らしつつも彼は漁に勤しんでいたが、
「ん? とあるものに気付いて顔を
上げたんだよ。そしたらさ」
何かが猛スピードで湖面を走るのが見えた。
文字通りそれは『走って』いた。
洋服を着た10才前後と思われる少年が、
湖の上を走っていたのだ。
「あんまりびっくりしちまったもんだから、
声を上げる事も忘れて―――
それで、乗っていた船の横を素通りして
行っちまった」
その余波で船が大きく動き、やがて揺れが
収まると、彼は慌てて船を岸へと戻したという。
「地元の老人どもに聞いたら……
そりゃ『川天狗』ってヤツだと言っていた。
だけど俺が漁をしていたの、湖なんだがなあ」
川であんなの一度も見た事が無ぇよ、
そう彼は付け加えた。
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