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百怪  作者: アンミン
怪異
275/300

75「坊主」

・現代怪談話・伝聞


とある釣り堀を経営する男性の話。


彼は時々、釣り堀の魚を補充すると称して

釣りをするために旅に出ていた。


とある山に入った時、獣道を抜けて進むと、

やや大きめな池を発見したという。


「もう何年も人が立ち入った形跡が無くてね。

 こりゃあ穴場だと思って、腰を据えて釣りを

 始めたんだ」


フナやタナゴ、コイなどが面白いほど釣れた。

夢中になって釣っていたが、ふと気づくと自分の

隣りに、何かが座っているのが見えた。


「4,5才くらいの女の子かな。

 ただ素っ裸だったので、思わず驚いて

 声を上げてしまったよ」


しかし彼も東北の田舎の出身で、そのくらいの

子供は男の子も女の子も、水辺では平気で裸に

なっていた事を思い出し―――


地元の子かな? と気を取り直して、

とにかく話をしてみる事にした。


「裸だと危ないよ?

 お兄さん、今釣りをしているから」


当然だが釣りには釣り針を使っている。

そう言ってどこかに行ってもらうか、

服を着るように促したのだが、


彼女はジーッと釣り上げた魚が入っている

バケツを見つめ、


「欲しいの?

 じゃあ、何匹があげるから」


と言うとパッと明るい笑顔になり、

いきなり素手でむんずと魚を一匹つかんだ。


「ワイルドだなー、と思っていたら」


それを口に持って行って、バリバリと

食べ始めた。


いくら田舎とはいえ、生魚をそのまま食べる

子供なんているはずがない。

さすがに身の危険を感じた彼は、


「おいしい?

 じゃあ、全部あげようか?」


彼の言葉に彼女は喜色満面となって、

両手で魚をつかんでむさぼり始めた。


そこで彼はその女の子が魚に夢中に

なっている間、そーっと後ずさりして

その場から離れたという。


「ふもとの店までたどり着いた時に、

 その事を話したら―――

 いきなり、ハサミを持って来られて」


そこで髪をバッサリと切られ、虎刈とらがりに

されてしまったという。


「何でもそれは、山の神とか精霊とか

 妖怪とか……

 とにかく人外のものらしい」


気に入られたらどこまでも追いかけて来て、

後ろ髪をつかまえようとするので、

ここで丸坊主になってもらったと説明された。


「二重の意味で、『ボウズ』になったよ」


そう言うと彼は、日焼けした肌でカラカラと

笑った。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】【完結】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894


【指】【完結】

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【ロートルの妖怪同伴世渡り記】

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