71「湿気」
・現代怪談話・伝聞
とある家電量販店の店員の話。
彼はある時期、家の中の湿気に悩まされていた。
「湿気対策とか、出来る限りの事はやっていたん
ですけどね……」
一人暮らしのマンションに帰ると、どこか
じめっとしている。
気のせいではなく、床やテーブルなど、
水気で濡れているところも何度も見たという。
「薄く、なんですけどね。
こっちも家電扱っているんですから、
どういう原因でこうなるのか―――
たいていわかるはずなんですけど」
水道が壊れていたりしたらお手上げだが、
何より濡れる場所は部屋のあちこちにあり、
まるで自分が留守の間、誰かがスポイトとかで
好き勝手に濡らしていくような感じだった。
幸い、PCなどはまだ無事だがこのままだと
それも危うい。
そこで一度、部屋をひっくり返してでも原因を
見つけてやろうと、家探しする勢いで調べた
ところ、
「引っ越した時に荷造りしてそのままの、
段ボールが出て来たんです」
そのマンションに越してきたのはもうだいぶ
前の話であり……
開けてみたところ、衣類が入っていた
程度だったが、
中身を全て取り出してみると、つい最近
濡れたような形跡が底の片隅にあった。
『見つかっちゃった』
その時、彼の耳に―――
少年か少女かはわからないが、甲高い
子供特有の声が聞こえたという。
「心霊っぽい話といえば、それくらい
ですかねえ」
ちなみに彼はもう二十年以上前に、
そこに引っ越してきており……
今でもそこに住んでいる。
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