58「防ぐ」
・物理的な魔の防御について
お寺で修行している知り合いの話。
最近、とある用事で地方に行った際―――
ある家に泊まる事になった。
そこは門をくぐると突然、衝立のような壁が
現れ、『邪魔だな』と思ったのが第一印象
だったという。
「古い家でしたし、珍しい造りだなって
思ったんですけど」
とにかくあんなものを置いていたのでは、
出入りが面倒だろうな、と彼が話していると、
「影壁ってヤツかな」
師がそのまま話に入って来た。
「影壁と言いますと」
「直接、家の中に邪悪なものが入って来ないよう、
入口の前とか門の後とかに立てて置くんだ」
闇語りの39話「境界」、49話「表現」、
また61話「共通性」で、境界や境い目、
地形についての話があったが、
『真っすぐ入って来る』道を避けるため、
家の造りとして、壁を作っておくのだという。
「多分そこは、中国系というか大陸の影響を
受けた家だったんじゃねえか?
禅寺とかでもあるし、あちらはちょっと
大きな建物だと、みんなそうなっている」
ちなみに、門の内側にあるのが『影壁』であり、
外側にあるのが『照壁』との事。
みんなが師の話を感心しながら聞いていると、
同僚の一人が、
「じゃあ中国は今でもそれを?」
すると師は両腕を組んで、
「さてなあ。
高層ビルとかマンションに作ったって話は
聞いた事がねぇな」
その答えに、弟子たちは苦笑いしたという。
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