54「カモフラージュ」
・欺くものについて
お寺で修行している知り合いの話。
世界各国に、お守りというのはある。
日本だとお守り袋はポピュラーな存在だし、
海外だと十字架、指輪、腕輪など……
また仏教では数珠が普通にお守りのような
存在となっているところもある。
「今はグローバルって言いますけど、
どこでも通用するんでしょうかね、それ」
知り合いが同僚たちと口々に意見していると、
そこへ師が入ってきた。
「あー……
時々持ち込まれる事もある。
ああいうの、結構困るんだよ」
宗派どころか国が違うものだし、同じ仏教でも
伝来する途中で変化したものもある。
対応がわからないものも多数あり、難儀するの
だという。
「持ち込まれるって、お守りをですか?」
彼が基本的な事をたずねると、
「その宗教に取ってはお守りでも、異教徒に
よっては違うからなあ。
かと言って捨てたりすると罰や何の祟りが
あるかもわからんから……
とにかく一度宗教施設へ、って事に
なるんだろう」
そこで同僚で中で最も空気の読めない人が、
「一番困ったのって何ですかー?」
と軽く質問したところ、
「カモフラージュしているやつだな」
「カモフラージュ?」
全員、その答えに首を傾げたが、
「実はお守りの形をした―――
呪物の類とか」
「ンな物は一目でわかるよ。
厄介なのは、別の宗教という事になっている
場合だ」
そこで師が説明し始めたが……
表面上はその宗教と称し、実は違う物があるの
だという。
「日本だってあっただろう。
キリスト教の弾圧の際、マリア像を
観音様っぽくしたヤツとか。
逆に、土着の宗教だがキリスト教っぽく
したのものもあるんだ」
そういうのが海外からのお土産とかに混じったり、
持ち帰ったりして―――
相談される事があるらしい。
「う~ん……
でもそんなに多いですか?」
と彼がたずねると、師は両腕を組んで、
「そりゃお前、植民地をたくさん作った国の
宗教っていやぁ、な」
その答えに、彼らは微妙に納得したという。
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