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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
25/300

25「廊下」【挿絵あり】

PCで外注をしている知人から聞いた話。

その彼が仕事場兼住所のマンションで、春先に

妙な体験をしたという。




仕事が一段落ついて落ち着いた時、ずっと

家の中にこもっていたので、散歩に行こうと

玄関のドアを開けた。




開けた時に、視界に女の子が飛び込んできた。

まだ小学校に上がるか上がる前かくらいの少女が、

赤い和服にその身を包んで、廊下を踊るように

飛び回っていた。




「こんな子、近所にいたかなあ」




その少女は、何がそんなに楽しいのか、ずっと

笑っていたという。

ただ不思議な事に声は聞こえなかった。

その笑顔を見ているうちに、急に眠気に襲われ、

彼はまぶたを閉じた。




「気が付くと、病院のベッドの上でした」




医者の話によると、彼は丸二日寝込んでいたそうだ。

運ばれた際、熱を測ったら39度以上もあり、当時

流行していた伝染病を疑われたらしい。




熱はすぐに下がり、退院後、救急車を

呼んでくれた同じ階の住人がいると聞き、

その人にお礼を言いに行った。




「オバサンでしたけどね。

 ただ、変な事を言われて」




何でも、彼が倒れていたのを見つけた時、

背中や周囲に桜の花びらが散っていたという。




「そのマンションは廊下まで屋内の造りに

 なっているから、風で飛んでくる事は

 考えにくいんだけど」




あの子は何がしたかったんだろうか、

そう言って彼は不精ヒゲをなでた。




挿絵(By みてみん)

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