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百怪  作者: アンミン
怪異
247/300

47「知識」

・現代怪談話・伝聞


山登りが趣味の五十代の人に聞いた話。


その男性は若い頃から登山が好きで、ただ

本格的な登山だけではなく、数時間で上って

帰って来る、軽めの山歩きのような事も

していた。


「今はトレッキングって言うんですかね。

 まあ、いつもいつも重たい準備するのも

 しんどかったので」


その日は、ある程度平坦な道で―――

どちらかというと、ハイキングを少し

キツくしたような道程。


一人で山中を歩いていると、ふと一羽の鳥が

目に入った。


「ただ、その鳥が何ていうか……

 カラスより一回り小さかったんですけど、

 自分の知っている野鳥の中にいない鳥

 だったので」


ムクドリやらヒヨドリやらチョウゲンボウやら、

だいたいの鳥は見分けがつくのだが、その鳥、

特にその顔はどの鳥にも該当しなかったという。


近くまで行ったが、木の枝にとまったまま

逃げもせず―――

そこで彼は、おやつにと持っていた麦チョコを

つまんで、その鳥にあげてみた。


鳥はその一粒を器用にキャッチすると、


「何かなあ、しゃべりだしたんですよ。

 最初は鳴き声かな、と思ったんですけど」


最後まで聞いてみると、それは何かの文章の

一行を読んでいるような感じだったらしい。


『〇〇は~▽◇に××で……』

『▲△は~◎●すると※に……』


そう、一粒渡す毎にしゃべり、面白くなって

ついつい持っていた麦チョコを全部上げて

しまった。


すると、もらえるエサが無くなった事に

気付いたのか―――

その鳥は羽ばたいてどこかへ消えてしまった

という。


「あれは確かに言葉でした。

 よく聞き取れなかったので、意味は

 わかりませんでしたけど。


 ただ、わからなくて良かったのではないかと、

 今ではそう思っています」


そう言うと、彼はシワが深くなった

目尻を曲げた。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。


(;・∀・)カクヨムでも書いています。

こちらもよろしくお願いします。


【ゲーセンダンジョン繁盛記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894

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