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百怪  作者: アンミン
怪異
246/300

46「本体」

・隠された弱点について。


お寺で修行している知り合いの話。


よく『分身の術』とか『目くらまし』とか、

幻術などで目をあざむく話がある。


道に迷わせたり、あるいは人に化けたりと―――

そのバリエーションは豊富であるが、


「見破り方って何か無いんですかね?

 対応方法というか……」


闇語り41話「惑わし」で、迷い

話があり……

そこでは、両目を閉じるという方法が

出て来たが、


もし相手あったらの場合では、という事が

同僚たちの間で意見が交わされ―――

その話の最中、師が外出から帰って来た。


「騙すのが目的の場合って事か?」


「まあ、化かしたり誰かに化けたり、

 というのもありますけど」


話に加わった師に疑問を投げかけてみると、


「昔話で、こういうのがあるが―――」


と、師が話し始めた。


鉄砲がある時代、という事からそれほど

大昔というわけでも無いが、


矢や鉄砲を生業なりわいとする人間に対し、

『自分を撃ってみろ』と言う男がいたという。


「金を賭けてやるんだが……

 自分を撃つ事が出来れば金をやるが、

 もし外したら金を寄越せ、と言うんだ」


「一発だけですよね?」


彼が聞き返すと、師は首を左右に振り、


「何発でもいいと言っていたそうでな。

 それが、誰にも当てる事が出来なかった

 そうだ」


彼は大きな外套がいとう、今でいうところの

マントで体を覆い、軽々とした身のこなしで

矢も銃弾もかわし―――

方々から多額の掛け金を巻き上げ続けた。


「それである時、銃の名手と呼ばれる男が

 名乗り出で、その賭けを受けた」


その男は律儀に役所に行って、これこれこういう

理由で人を撃ち殺すかも知れないからよろしく、

ときちんと伝えたそうで―――

役所としてもそれを受理したとの事。


そして賭けの結果は、ただ一発でその男を

撃ち殺したという。


「その人のは当たったんですか?」


「そいつは、人ではなく外套を狙って撃ったんだ

 そうだ。


 目に見えている男は幻影であり、本体は外套の

 裏に隠れていた、と言って……

 賭けは銃の名手の勝利に終わったらしい」


今まで賭けに挑んだ人間は男の方を狙ったが、

名手は幻影を即座に見破り、勝利を得た。


「本体そのものが幻影なら、狙ったって

 当たるわけがないですよね」


「弱点が普通ではない、別の場所にあると

 いうのは、よくある話だけどな。


 西洋の魔女は、自分の心臓をトランプの中に

 隠しておくというし―――

 旧約聖書に出て来るサムスンという英雄は、

 怪力の元である髪を剃られて捕らえられた。


 ネタばらしされたら終わり、というのは

 パターンなんだろうなあ」


師がそう言うと、全員がうなずいたという。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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(;・∀・)カクヨムでも書いています。

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【ゲーセンダンジョン繁盛記】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649291247894

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― 新着の感想 ―
[一言] なかなか興味深いお話ですね 虚々実々の駆け引きは現代でもあります 決して素顔を見せない人間とか 見てしまった者は、、、
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