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百怪  作者: アンミン
怪異
230/300

30「真贋」

・封印やお札の効能について


お寺で修行している知り合いの話。


彼の師である住職は相談を受けると、

方々を回ったりしているのだが、


その中でもよくあるのが、

『古い物置から怪しげな物が見つかった』、

『呪われた物じゃないか』

という話なのだという。


「『封』とか『呪』とか『わざわい』とか……

 ご大層な札や大仰おおぎょうな封印がついている事が

 多いな」


師の話を聞いていた彼と同僚は、

どうやって処理しているのかをたずねてみると、


「ん? はがすよ普通に」


そこで全員がガクッとなり―――

彼が「それでいいんですか?」と聞き返すと、


「ああいうのはたいてい、ドロボウ対策なんだ。

 『これ盗むとヤベーぞ』っていうおどしでさ」


治安の悪かった昔は、セキュリティ対策も

万全ではなく……

一番安上がりだったのは、『これは盗んだら

マズい物ですよ』と偽装・アピールする事だった

という。


「いやでも―――

 そんなのどうやって見分けるんですか。

 もし本物だったとしたら」


「だってキレーな物ばっかりだしなあ」


彼の同僚の一人の質問に、師は説明し始めた。


確かに封印を施されている『本物』も中には

あるそうだが……

そういう場合は呪いが強力で、定期的にお札を

張り替えたり、何度も儀式を繰り返す必要が

あるらしい。


「だから字がハッキリと見えたり、保存状態が

 とても良い物は―――

 呪われてなんかいねぇんだよ」


「じゃあ……本物は?」


彼が質問すると、師はう~んとうなって、


「札がボロボロになっていたり、封印している

 入れ物そのものが壊れちまったりしていて……

 もう手遅れの状態の物なら見た事がある」


それはどうしたんですか? と弟子たちが

口々に問うと、


「いやだから手遅れだって。

 封印が解けたのに、いつまでもそんなところに

 居続けるバカはいねーだろ。

 それにある意味、終わった後だからな」


その場にいた彼と同僚たちは、『あ~……』と

声を上げた後、無言になったという。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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