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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
23/300

23「余計」【挿絵あり】



知り合いの仏教関係者から聞いた話。


彼の修行仲間というか同門に、形容し難い男がいた。

バカというか天然というか、どれくらいと問われれば、

かつて剣道の試合で、相手に回し蹴りを食らわした級の

度し難いバカである。


さて、そんなバカでも一通り修行すれば、

“それなり”に、見える・感じるように

なってくるらしい。

いつもは山や修験地で異質な気配を確認するのだが、

ある時家でその気配を察知した。




その時の彼は気配は感じる事が出来るものの、

対処方法など知らない。

こういう時は大人しく時間が過ぎるのを待つか、

対処出来る人間に連絡を取るものなのだが、

あいにくとそういう殊勝な心がけは持ち合わせていない

人間だった。




「とにかく、あきれさせたら勝ちだと思ってさ」




PCを起動させ、保存してあるエロ動画を大音量で

流したという。

しばらくすると気配は消えた。




「勝ったと思った」




ここまで聞いて彼も呆れる他無かったが、それも

対処方法として有りなのか、と半ば感心していた。

しかし、事はそれだけでは済まなかった。




「それから、妙な気配がする度に、エロ動画で

 撃退していたんだよ。そしたらさ」




ある時、寺にやってきたその同門を師がとがめた。

師は険しい表情をして彼を問い質した。




「何をした」




同門はそれまでしてきた事を話すと、




「とんでもないモン、連れて来てるぞ」




その言葉に青くなった同門は、すぐにおはらいを受けた。

水ごりをし、小一時間ほどでそれは終わったという。


その後、同門は当然の如く師に散々叱られた。




「余計な事が、余計なものを招くのだ」




一体何が憑いていたのかを同門は聞いたが、




「今のお前に話したら、

 喜んで取り込まれそうだから言わん」




としか言われなかったという。




彼もその後、聞く機会を得たが、やはり師は

答えてはくれなかった。

死ぬ前には答えてやると言われているので、

聞くのを楽しみにしているそうだ。





挿絵(By みてみん)

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